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(美達の蔵出しオススメ) 151 『ミステリガール』 デイヴィッド・ゴードン ハヤカワ・ミステリ


※初期の頃のレビューです。今回、初出です。ご留意下さい。


本書は『二流小説家』の著者の2作目でした。
『二流小説家』、面白かったですよ。
獄中の殺人犯から自伝のゴーストライターを頼まれた作家が事件に巻き込まれる話でしたが、十分に楽しんだ一冊でした。



本書ですが、主人公は小説家になることを夢見て、古書店で働いているサムです。
しかし、古書店は廃業し、妻にも愛想をつかされてしまいます。
サムは妻の機嫌を取るべく職探しを始めましたが、採用してくれたのは巨漢で変人の探偵のロンスキーでした。

その最初の仕事が、美女の尾行です。
そして、その美女が突然、姿を消してしまいます。
本書は、美女探しの物語となりますが、魅力の一つに登場人物たちの語りも入るでしょうね。
文学だけではなく、映画にも及ぶ語りは、人によっては物語以上に関心をひくかもしれません。
その中で事件解決のヒントが語られますが、これがよく練られていました。

サムは決してスーパーマンではありません。
文学への思いも、王道というより、前衛的な思想を持つ男として描かれています。
これ、著者自身の思いでもあるそうです(筆者はマルセル・プルーストを信奉しているとか)。

それにしても世の中に作家になりたい人、本当に多いですよね。
これ、こうだ!という絶対的な評価がないだけに、そのアプローチを誤ると、なかなかなれません。
逆に、えっ、こんなのが、と思う時もあります。

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