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(美達の蔵出しオススメ) 140 『非情の常時リストラ』 溝上憲文(みぞうえのりふみ) 文春新書


※初期のレビューです。今回、初出です。ご留意下さい。

グローバル化を叫ばれて久しいですが、大企業は常時リストラという時代に入っているんですね。

冒頭に大手IT企業の新人研修を取材した著者が、人事課長に「10年後の成長が楽しみですね」と言ったところ、「そこまで待っていられない」と言われたとあります。

「ビジネスの領域が広がるとともに、モデルチェンジのスピードが早くなっています。現場がこんな人材が欲しいと言えば、それにすぐ応えるのが人事部の使命です。必要な時に必要な人材を供給するために人材のプールを厚くする。内部にふさわしい人がいなければ、外から調達することも考えなければ間に合わないのです」

以前のようにじっくりと育てる余裕がないというわけです。

そればかりではなく、大手企業では35歳以上から退職者を募ることもあるといいます。
また、40歳以上を対象としたセカンドライフ支援制度や入社3年目以上の社員に随時、退職勧奨をしている企業など、枚挙にいとまがありません。

各部署でも常にリストラ候補をリストアップしている企業が一般的になりつつあるようです。
これは100人単位ではなく、50人程度なので社内外に向けてリリースする必要がなく、社員の心情にも株価にも影響しないとあります。
そのために退職勧奨を引き受けるアウトプレースメント企業も増えていますが、それだけの仕事があるということでしょう。
リストラ候補者リストを役員に提示し、家族がいることを告げても、「家族がいる、いないは関係ないだろう。家族が仕事をするわけではないんだから」と一蹴されるそうです。

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