仕事は人生と表裏一体!!『何のために働くのか』 北尾吉孝(きたおよしたか) 致知(ちち)出版社 平成19年3月刊

<お知らせ>

緊急で、レビューは7月初めになりますが、『安倍晋三元総理追悼論』(高木書房)を是非、読んで下さい。


安倍晋三元総理追悼論
深田匠
高木書房

現在までの最高の書であり、これ以上の内容の書は、たぶん出ません。
著者の情熱と誠実さと公正さも卓越しています。
一家に一冊、友人・知人にも配って下さい!! 

<本文>

(8月11日記)

著者は証券・金融・不動産の企業を傘下に持つSBIホールディングの創始者です。
同時に古典、特に中国の古典に明るい経営者で、仕事というより、

「仕事道」

を唱える人でもあります。

日本においての「仕事道」といえば、

明治の
渋沢しぶさわ栄一
昭和の
松下幸之助こうのすけ
近時の
稲盛和夫いなもりかずお

が有名ですが、著者は稲森和夫に近い流れを持つ人でした。


何のために働くのか
北尾吉孝
致知出版社

テーマはタイトル通り、

「人は何のために働くのか」

です。

著者は、日本の豊かな精神文化が崩壊し、人間学ともいうべき学問を身につける機会がなくなったと嘆息しています。
人は、明確な概念や信念を持つことが大事と述べていましたが同感です。

本書の目次は、

人間は仕事の中で成長する
古典が教えてくれたこと
あえて艱難辛苦かんなんしんくの道を行く
誰でも仕事の達人になれる、天命をまっとうして生きる

となっています。

第一章で著者は、

「働くことを自己実現のためではなく、生き甲斐を見つけるため」

と語っていました。

著者の尊敬する稲森和夫氏の言葉を引用し、

「働くことが人間性を深め、人格を高くする。働くことは人間を磨くこと、魂を磨くことだ」

と提示しています。

それが昨今では、すっかり金銭価値こそ至上の価値、金銭のみが目的になっている懸念を示し、誤りであると述べているのです。

著者が考える仕事とは、

天命てんめいに従って働くこと、おおやけつかえることでもある」

としていました。

ここで解説しときますが、

天命

とは、何を定義するのでしょうか。

天命とは、天からその人に与えられた使命、その人の運命とも読みかえて下さい。
天運とも言います。
私はこれまで何度か書いてきましたが、神ではなく「天」の存在、天命はある、人はそれぞれの言動によって天に動かされている、天命に従っている、それが運命なのだ、と解釈しています。
詳細は『獄中の思索者』(中公公論新社)を見て下さい。


獄中の思索者
美達大和
中央公論新社



そして、もう一つ、著者は、

「仕事とは自分の天分てんぶんをまっとうする中でしか生き甲斐は得られない」

とも語っているのです。

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