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(美達の蔵出しオススメ) 95 『なぜ日本経済は世界最強と言われるのか』 ぐっちーさん (東邦出版) 2012年9月発売


※初期のレビューです。今回、初出です。ご留意下さい。

「ぐっちーさん」こと、山口正洋やまぐちまさひろさんは、モルガン・スタンレー、ABNアムロ、ベアー・スターンズなど、欧米の金融機関に勤めた後、投資銀行を開設したという1960年生まれの人です。
ぐっちーさん、というのはブログでの名前で、多くのフォロワーがいます。

今回の書は、日本人として希望にあふれた書でした。
日頃、新聞をはじめ、メディアには日本は債務過重で破綻するとか、日本経済は終わったという声ばかりですが、本書はそれがいかに根拠に乏しく、欺瞞に満ちた言説であるかを知らせています。
著者の意見は、ことごとく従来の常識をくつがえすものですが、それを補強するデータも示してありました。

近年、日本経済を凌駕した中国への言及が多いのが特徴の一つですが、著者は中国語を学び、中国に知人も多いとのことで、説得力を持つものでした。
我々、日本人にとってあたりまえのことですが、契約や決めたことを守るという点でも、中国のいい加減さを例示して、今後10年以内に決定的な没落を迎えるとしています。
欧米諸国は中国とのビジネスを通じて、改めて日本の誠実さ、製品の信頼度の高さを認識し、日本との取引を求めているという見解は、他の媒体でも目にすることが多くなりました。
著者が長く生活していたアメリカでも、現場の日本に対する信頼は高く、サムライだと評価し、彼らもガンマンスピリットで応えるとあります。
資源獲得競争で首位を独走しているかのような中国に対して、アフリカでもチャイナ・バッシングが起きているようです。
巨額の投資をしているものの、アフリカ人の雇用による富をもたらすことなく、それまであった小さな仕事まで奪っていく、昔のイギリス、フランスよりはるかに始末が悪いというのが定説になりつつあるとのことでした。

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