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これが世界の先端半導体業界の実態だ!! 『雑感89 なぜ、今、半導体が注目されているのか、世界の実情』

(6月23日記)

今回のテーマは、「最近、にわかに注目され、国策とされるようになった半導体と、世界の実情」についてです。

1980年代、日本の半導体は世界の上位10社の大半を日本が占め、50.3%ものシェアを誇っていました。
それが、日本の独走を許さんとしたアメリカの一方的な貿易交渉の結果、シェアを下げ、今や衰退の国となったのです。
衰退とは、最もハイレベルな部門でのシェアが0%となったことを指します。

その前に、半導体については、とても紙数が足りないので検索して下さい。

当時から「産業のコメ」と呼ばれていましたが、今日こんにちでは石油以上の重要品目となりました。
毎年、生産されている半導体の数は、他の全ての工業製品の数より多いとされています。
ICT製品の製造には欠かせないのはもちろん、私たちの身の回りの電化製品、パソコン、スマホ、車、他など、あらゆる物に不可欠となりました。

何よりも重大な点は、安全保障の土台である各種装備、武器など、全てに半導体が必要であり、その性能が戦争の勝敗を分けるようになったことです。
高度な性能を持つ半導体を用いた装備、システムが勝つのは当然のことです。
システムにはスーパーコンピューター、AI、通信、あらゆる物が入ります。
そうした中、日本は技術立国の面影はなく、高性能半導体は作れなくなっているのです。

直接のきっかけは、1988年と1991年の2度にわたる「日米半導体協定」で、日本の国内で海外製品のシェアを20%以上にしろ、となったことでした。
当時、海外製品というのは、アメリカしかありません。
それで日本のシェアが落ちた、以後は衰退する一方というので、「全部アメリカが悪かった」と日本の産業人は語りますが、これは愚かな言い訳です。

きっかけはアメリカでも、衰退の原因は日本にあります。
過剰な品質の追求、海外で不要の機能の付加、世界の流れの読み間違い、おごり、経営者の守りの姿勢などで首を絞めたのです。
ガラパゴスと言われた携帯電話と同じ道を辿たどったとも言えます。
その間に台湾、韓国が台頭し、抜かれました。

近年、台湾のTSMC(台湾電路積体製造)が、最先端の「ロジック半導体」で世界の6割のシェアを誇る、巨大強力企業として君臨しています。
熊本市に進出、2024年に稼働予定ですが、ここで作るのは最先端ではありません。

昨年、2021年10月、アメリカは中国に最先端の半導体の輸出、その技術、技術者の流入を禁止する「チップス・アンド・サイエンス・アクト」、通称CHIPS法を制定しました。
製品はおろか、アメリカ国籍及びアメリカ永住権取得者による技術サポートも禁止するというアメリカらしい法制度で、日本も見習うべきものです。
半導体が戦略的な競争の対象となったのは、ここ6~7年のことですが、この法によって、日本の持つ製造や洗浄の中の高度な技術、ハイレベルな製品も中国に輸出禁止となりましたが、安保についてザルの日本なので、完全に禁止できるか怪しいです。
つい最近も、産業技術総合研究所に勤める中国人による技術窃盗が報道された日本、本当に情けない国です。

なぜ、中国への輸出禁止か?となれば、冒頭に書いたように、国防上の武器・装備・システムに最先端の半導体を使わせないためです。
あらゆる電子機器に搭載される半導体ですが、大別すると、

(1) 先端半導体
(2) 汎用はんよう半導体

に分かれます。

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