どれだけ悲惨な国なのか、北朝鮮!

(11月30日記)

テーマは脱北、「北朝鮮からの脱出に成功した著者の、逃走及び日本での生活についての手記」でした。
表紙にもオビにも「命がけ」とありますが、大袈裟ではなく、失敗すれば社会生命どころか、命まで抹殺まっさつされます。他には死ぬまで収容所に入れられ、動物並みの扱いですごすのです。

著者は1985(昭和60)年生まれで、10歳の時に家族をうしない、弟と路上生活を始めました。1年後に弟とも別れ、祖父母の家に世話になった後、18歳で一回目の脱北をこころみて失敗します。
この時は「幸運」にも殺されず、留置所ですごし釈放されました。23歳で二度目の脱北を試み、中国へ渡り、ベトナム、カンボジアを経て韓国に入国できました。

そこから日本に語学留学して大学を出て、会社員をしながらYouTuberをやっています。
始めたきっかけは、2020(令和2)年に韓国ドラマの『愛の不時着』が日本で放映され、ドラマの中の将校に会いに北朝鮮に行きたいと、あの国を好意的にとらえているのを見て危機感を覚えたからでした。
北朝鮮がどんな国か、実態を知ってもらうためにYouTuberとなったのです。


僕は脱北YouTuber
キム ヨセフ
光文社
2022年8月発売



目次の一部を紹介すると、

小学生のときに目撃した公開処刑
学校に行けない子の日常
息をすることだけが自由だった留置所
脱北失敗後の5年間
12年ぶり、父との再会
二度目の脱北
韓国、そして日本
韓国ドラマにあった光景
お金のつかいみちがわからない
北朝鮮人から見た日本
脱北して得たもの
今改めて考える北朝鮮という国
韓国の脱北者が語るものは真実か
仕事とお金

他、となっています。

著者は、ちょうど学齢期の頃、『苦難の行軍』の時期にあたったのです。これは大凶作で食糧がなく、1996(平成8)年から1999(平成11)年まで300万人以上が餓死した惨事でした。
この時、著者は母、姉たちを餓死で喪い、父とも別れて路上生活者となりました。それまで小学校に通っていて、楽しみは年に2回の金日成と金正日の誕生日である、4月15日、2月16日に配られる、お菓子やゼリーの入った袋でした。
食糧の配給は、3割が米、7割がとうもろこしで、米は優先的に世帯主が食べます。

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