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柔道にかける情熱の青春記!必読の書! 『七帝(ななてい)柔道記Ⅱ』 増田俊也(ますだとしなり) 角川


(6月30日記)

皆さん、大変長らくお待たせしました。
血と汗と涙の感動柔道青春記の第二弾の登場です!
旧帝国大学の7つの大学が、通常の柔道とは全く異なる高専こうせんルールで勝負するという、伝統ある闘いの記です。

旧帝国大学とは、現在の国立大学の北海道大学、東北大学、東京大学、名古屋大学、大阪大学、京都大学、九州大学で七帝、戦前はさらに京城けいじょう帝大、台北たいぺい帝大と、朝鮮、台湾にも帝国大学があり、戦後の両国の各界のリーダーになった人材を育てました。
日本の善良さは、朝鮮、台湾の帝国大学を早くに設立したことでした。

帝大生は当時のエリート中のエリートで、社会においても、「帝大生です」
というとみんな、「ははあーっ」とか「ほほおーっ」となって特別扱いをしたほどでした。
帝国大学に進学するための旧制高校の学生ですら、超エリートとしてぐうされていたのです。
東京の一高いちこう、京都の三高さんこう、金沢の四高しこう、熊本の五高ごこうなど、「ナンバースクール」と呼ばれて、こちらも特別扱いでした。
なんせ進学率が10%もなかったのですから。

七帝柔道のルールは独特で、対抗試合は双方一五人ずつ、勝てばそのまま次の選手と戦います。
引き分けは双方ともに次の選手に替わります。
寝技の占める割合が多く、寝技で膠着こうちゃくしても「待て」はありません。
選手はどんなに苦しくても「参った」せず、失神や骨折もあります。

著者であり、当時、北海道大学、北大柔道部の部員だった増田氏が、柔道をやるために北大に入学してから、4年生になって中退するまでの物語です。
本書の前に刊行された
『七帝柔道記』(※旧ブログにレビューがあります。クリックで飛びます。こちらも是非!)は角川文庫にもなっているので、これも必読です。是非、是非!!

本書は著者が2年生になってから始まります。
同学年には一本気で熱血漢の好男子の竜澤たつざわ、温厚な「大物」の松井、真面目で練習熱心な宮澤、誠実一路の工藤など、個性あふれる仲間がいて、物語の中で躍動します。
柔道部は、かつての強豪校から、今や4年連続最下位の弱小校になっていました。
先輩の和泉いずみは、負け癖がついた後輩を叱咤しった激励しますが、このセリフ、いつも泣けるほどいいのです。

「外での悪さは、いくらでもせい。二十歳前後の大学時代といえば、人間として一番の成長期にある。じゃけ、将来へのやしとしていろんな経験をしておきんさい。失敗したら、わしら上がいくらでもケツいちゃる。じゃが道場で何をすべきかは、よう考えんさい」

和泉はお寺の息子ですが、北大卒業後、医師になるため、医大に再入学した人です。

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