『フィスト・ダンス』 第118回 強くなることは森厳(しんげん)なこと
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<お知らせ>
年末年始のため、12月21日 09:40以降のコメントへの返信は1月11日アップになります。
<本文>
<翔太のプロジェクト>
「98、99、100!」
その途端、道場には嘆声が洩れた。
その日は南地区支部長の新栄中の岸本浩が配下の者を連れて菊山道場に来ていた。
今、彼らに見せたのは、親指と人差し指の2本指での指立て伏せだ。
丈次たちはまだだが、翔太たち2年生は全員が容易にこなせるようになっていた。
翔太に至っては入学以来の課題であった親指だけの逆立ちもこなしている。当然、1本指の指立て伏せなど、朝めし前だ。
親指でも人差し指でも楽勝だ。
「凄え、2本指なんて」
岸本が瞠目し、一同も驚きを隠さない。
だが、このくらいのことは翔太たちにとって、トレーニングにもならないレベルだ。
他校の連中が来た時には一種のデモンストレーションで、自分たちとは途方もない差があるのだ、という狙いがあった。
こうしておけば、高校生になってから番長になるまで、余計な手間と時間が省けることも目的だ。
「浩、おまえら、ちゃんとやってんだろ、筋トレ」
「ええ。でも、とても、ここまでのレベルは、できないです」
岸本は、大きく前にせり出した鶏冠のようなリーゼントの頭を横に振った。
170センチをいくらか越えた体はがっちりし、目つきはきかなかったが、翔太の前では神妙だった。
「初めはできなくても、続けていけばできるようになる。筋力をつけることは強くなる必須条件だから必ずやれよ」
「はい、やります」
翔太はマーボとトミーにデッドリフトとスクワットを実演させた。
デッドリフトは、膝の位置にあるバーベルを両手で一気に胸まで引き上げる。
瞬発力と体幹、脊柱起立筋を鍛えるものだ。
脊柱起立筋は腰を支える筋肉だ。
「よっしゃ」
マーボは、傍らに用意しておいたバーベルのシャフトを両手で握った。
鉄棒でいう、逆手だった。
トミーも同じようにした。
ウエイトは60キロ。標準的な2年生より10キロは重い。
「おりゃっ!」
「うりゃっ!」
2人で一斉に持ち上げる。
「そのまま6回っ!」
翔太の檄で、2人は一気に下ろし、瞬時に挙げる、を繰り返す。
「よし、終了っ。浩、誰か、ちょっと持ってみろ、これ」
翔太が指差すバーベルを、岸本と、岸本に促された新栄中の体の大きな男が挙げようとするが、膝下で止まった。
「重いっ、これ」
「60キロだ。おまえらより少し重いか同じくらいだろ」
岸本は翔太に、そうです、と答えた。
「うちの総番なんて110キロを挙げるんだぜ」
マーボが言うと、おおお、と声が上がった。
「ひゃ、110キロって、マブですかっ!」
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無期懲役囚、美達大和のブックレビュー
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