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これだけの珠玉のアドバイスができる人は、ごくごく稀だ! 『経済評論家の父から息子への手紙 お金と人生と幸せについて』 山崎元 学研

(4月25日記)



<本文>

テーマは、「ガンで余命いくばくもない優れた経済評論家が、東大生の息子に残した、仕事・お金・人生についての極めて有益なアドバイスの数々」でした。
これと同じだけの質・配慮・明るさをもって書ける人は、ごくごく稀にしかいないだろうというくらいの良書でした。
この手の、つまり余命が限られている人が書く本に見られる悲愴感や生への渇望感、切実さは微塵みじんもなく、己を透徹した目で書けるということは、ほとんどの人にはできないことで、「山崎さん、やはり、立派な人だったんだな」と納得しました。
本書、子どもへの助言のため以外に、自分をこれだけ冷静に見つめられるか?皆さんの職業人生は自分を有効に使ったのか、より善い生き方の実践、などを含め、是非、一読すべきです。

目次の一部をざっと紹介すると、

働き方・稼ぎ方
新しい働き方は効率性と自由を求める
株式による報酬を取り込め
株式で稼ぐ働き方を実践せよ
株式性の報酬には複数の魅力がある
「クビ」のコストは総合的に小さい
時代はゆっくりと、まだら模様に変化する
お金の増やし方と資本主義経済の仕組み
運用について必要な基本はこれだけ
借金なしに済む生活資金は常に確保せよ
運用の3原則は「長期」「分散」「低コスト」
アクティブファンドはほぼすべてがダメ
全世界株式を選ぶ理由も「平均投資有利の原則」
株式投資の正確な意味を知る
リスクを取りたくない労働者が安い賃金で我慢する
資本家をカモにする「労働者タイプB」の出現
株式投資は働かないで稼ぐことではない
お金は、シンプルに管理して、おおらかに使う
もう少し話しておきたいこと
働き方のコツ、覚書
自分の人材価値を中心に考える
早く転職できる人材になる
自己投資で得るものは、知識・スキル・経験・人間関係・時間
時間の値段を意識する「年収1千万円は時給5千円」
「頭のいい奴」「面白い奴」「本当にいい奴」と付き合う
人間関係の基本は時間厳守とさわやかな挨拶
会食は手抜きするな
キャリアプランニングで意識する「28歳」「35歳」「45歳」
45歳がキャリアの曲がり角
転職は人材価値をかすための手段だ
転職を常に意識する
小さくても副業のチャンスは逃すな
ワークライフバランスは、ほどほどに
サンクコストにこだわるな
小さな幸福論
幸福の決定要素は、実は一つだけ
モテない男は幸せそうに見えない
価値観の99%は他人が作った概念でできている
モテの秘訣はただ一つ
上機嫌で暮らせ!
大人になった息子へ
息子への手紙全文

となっていました。

山崎さんは、私が認める数少ない経済評論家の一人です。
世の中に株を含めて評論家、アナリスト、ファンドマネジャーは星の数ほどいますが、「それだけ予想を外して、よく平気でいられるな。この恥知らずめ!」
「よくも、そんなウソッパチを語れるな、クズめ!」が大半で、私は全く評価していない中で、山崎さんは推薦できる人でした。
その山崎さん、2024年1月に逝去され、以前からガンで闘病中と知っていた私は、極力、長く生きて欲しいと望んでいた一人です。

冒頭で、「実用的で役に立つことを第一に心掛ける。機嫌の良い人生を送るお役に立てたら幸いだ」とありましたが、「機嫌の良い」というのが、まさに私の思いと同じで、「その通りだ、山崎さん!!」と共感しました。
当レビューで書いたように、自分の機嫌を良くするのは自分の「務め」なのです。
人に顔色をうかがわせているようでは、「ろくなもんじゃ」ありません。
妻、夫、子ども、部下に、こんなことをさせている人がいたら、猛省して、「何があっても」、いつも機嫌がいい人になって下さい。
こんなこと、私は中学生の時から意識してやっています。
特に目下の者に、顔色をうかがわせている奴は、誰であろうとクズだ!です。

山崎さん、息子に、「当面の職と収入に満足してぼんやり過ごしていると人生のチャンスをどんどん失っていく」と述べています。
新しい働き方は効率性と自由を求めます。
必要なマインドセット、心がまえは、「常に適度なリスクを取る」「他人と異なることを恐れずに、むしろ、そのために工夫すること」と述べてますが、まさにその通りです。

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