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欧米の軍事の世界でも権威の著者が語る、本当の日本の防衛力と問題点!! 『防衛省に告ぐ』 香田洋二(こうだようじ) 中公新書ラクレ

(2月4日記)


本書のテーマは、「日本の防衛の現状と、是正すべき点、その多くが防衛省にある」というものでした。

著者は2008年に、昔の連合艦隊司令長官にあたる海上自衛隊自衛艦隊司令官で退官していますが、欧米の軍の中では、将官らに講義する、著名な権威です。
4年以上も統合幕僚長をした河野克俊こうのかつとし氏は、著者の部下だった人です。
日本のメディアは報じませんが、香田氏は、米軍のインド太平洋軍司令部にも講義しにいく有名な教官でした。

2月現在、今後5年で防衛費をGDP比で2%にする、反撃能力を持つことなど、従来の日本の防衛の概念を一新したものの、著者に言わせると、まだまだ問題点が山積さんせきしていました。
立派な装備を持っていても、使いこなせなければ意味がなく、適正な人員配置、訓練、十分な弾薬が欠かせません。爆薬庫も大きく不足しているのです。
令和9年度でも十分ではありません。

目次の一部をざっと紹介すると、

意思疎通に問題がある防衛省と自衛隊
GDP比2%だけでは何も変わらない
調査・研究というアブナイ橋
イージスアショア問題が浮き彫りにした防衛省の独善
装備も扱えない背広組の限界
ツケを払うのは国民だ
GDP比1%という呪縛
いびつな防衛予算
戦うつもりがなかったから、なんとかなっていた
火薬庫が作れないので、余った機雷は廃棄する
日本のガラパゴス型「文官統制」の罪
現場を重視した安倍晋三元首相
国会と自衛隊
汚い艦と目玉焼で、公明党議員を説得する
間違った国産信仰の罪と罰
問題はカネの使い方
国産に固執する防衛省
憲法改正は自衛隊の悲願
うちの息子が不登校に
憲法に「陸海空軍を保有する」と明記を
教訓いかされぬ日米同盟
自衛官の名誉と自覚
私、叙勲は辞退させていただきました
戦闘組織の一員としての覚悟

などとなっていました。

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