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日本の何が悪く、何を直せば良いのか、を考える一冊 『51のデータが明かす日本経済の構造』宮本弘暁(ひろあき) PHP新書


(5月21日記)

本書のテーマは、「現在及び現在までの日本経済の構造を、各種データを使って解析し、合わせて未来への処方箋を示す」というものです。

著者は、元IMF(国際通貨基金)エコノミストで、現在は東京都立大学経済経営学部教授をしています。
以前、当レビューで『101のデータで読む日本の未来』(※クリックで記事に飛びます)を紹介しましたが、著者の書です。

オビには、「国民が平等に貧しくなる未熟な資本主義、一人負けニッポンをどう変えるか」とありましたが、「未熟」ではなく、「旧来のスタイル・思考を変えられない」のが問題なのです。
オビの文は編集者が考えるので、著者の責任ではありませんが、正確を期すために書いておきます。

戦後のゼロからの資本主義発展は、モデルのようなものでしたが、それは国民が若く、物がない中、教育水準が高く、勤勉な働き方が大半だったという、絵に描いたような理想的な状況・条件が揃った成果でした。
が、構造・環境が変わったのに、いつまでも旧来のやり方にしがみつくしかできない多くの日本人の欠点が顕在化したのが今の状況なのです!

目次の一部を紹介すると、

30年ぶりの物価高が意味するもの
世界中で広がるインフレ、止まらない円安
良いインフレ、悪いインフレ
円安は良いのか、悪いのか
アメリカのラーメンは1杯2000円以上
賃金 世界で一人負け日本の低賃金
こんなに給料が上がらない国は日本だけ
賃金を決める4つの要因とは何か?
失業率が下がっても、賃金上昇は期待できない?
企業経営と労働
「人やモノにお金をかけない国」日本
改革の鍵は日本型雇用にあり
なぜ、労働生産性は低下しているのか?
人に、お金を
日本企業は守りの姿勢に入りすぎている
日本的雇用慣行の背景
「未熟な資本主義」を脱却する方法
処方箋は付加価値にあり
労働市場を流動化せよ
公務員の人事制度を変えよ

などとなっていました。

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1,828字
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