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(美達の蔵出しオススメ) 153 『日本企業は何で食っていくのか』 伊丹敬之(いたみひろゆき) 日経プレミアシリーズ 2013年5月刊行


※初期のレビューです。今回、初出です。ご留意下さい。


著者は現在、東京理科大学院イノベーション研究科教授の任にあります。テーマはタイトル通りですが、本書ではピザ型グローバリゼーション、電力生産性、複雑性産業など、6つの突破口を示していました。

初めに著者は今の日本について「第三の敗戦」としています。
大東亜戦争、オイルショック、そして、2008年から今まで、というくくり方です。
敗戦の理由は、まず、エネルギー危機。電力です。
今は火力発電を、ぎりぎりまで使って綱渡りの状態で、突発事故が起きたらどうしようもないと語っています。

もう一つは国際金融の液状化として、実質実行為替レートで比べた場合、リーマンショック以前より2割近い円高を挙げていました。
そして、日本だけが通過高になっているのを問題としています。

著者は鉱工業生産指数の分析から、リーマンショックで最も実体経済に被害が大きかったのが日本だとしていました。
やっと回復しかけたところに2011年の東日本大震災がきて、回復頓挫。おまけに無能な民主党政権が、その被害を拡げたのです。

同じ年にアメリカ国債がトリプルAから落ち、ヨーロッパの国債が売られたことが液状化の由来と言います。
その余波をもろにかぶり、日本の現状は厳しいとか。

しかし、オイルショック後の日本経済の立ち直り方にヒントがあるようです。
産業構造、原油消費量が変わり、他の産業が中心となっていくプロセス、これが参考になると述べています。

詳細は本書で読んでいただくとして、電力の有効活用、サービス業の質の高さ、代替のきかない高品質、複雑な繊維製品、インフラ産業など、上手に活用することで日本は立ち直るそうです。

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