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(美達の蔵出しオススメ)『武器としての人口減社会』 村上由美子 光文社新書

※2017年2月に旧ブログに投稿した書評です。ご留意下さい。




オビには、「少子高齢化はチャンス!」 とあります。

人口減少ペシミズム(悲観論)におおわれている日本に対するアンチテーゼ(ある事柄に対して、否定・対抗して出される主張・論のこと)を唱える書です。
私も同感で、巷間、「人口増加なくば経済成長なし」と言われていますが、私はこれについて、人口増加は有利な条件ではあるが、「絶対必要」条件ではないと考えてきました。

著者は、国連に就職ののち、アメリカでゴールドマン・サックス証券入社後、クレディ・スイス証券を経て、2013年より「経済協力開発機構」、よくいうOECDに勤めています。なので、各国(特にOECD)の事情に明るく、他国、世界の中の「日本」という相対的視座で、日本の現状・潜在的能力を分析していました。

OECDとは、先進国35ヵ国が加盟している国際的機関のことです。著者は東京センター長という立場から、OECDの各種統計を駆使し、多くの日本人自身が知らない日本の能力について語っています。

まず、この世界第3位の経済力を持つ日本の、

労働生産性
女性活躍推進
起業家精神

などが、OECDの中でも「低い」レベルにあると語っているのです。
これは逆に考えると、力を出しきってないのに世界第3位(中国の統計が、めちゃくちゃインチキで、実は第2位とも)にあると言えます。

実際、戦後から続く労働慣行もあり、労働生産性の低さ(残業が多いのに低い、低いから残業が多い・時間あたりの生産量が低いから)はずっと言われて続けてきました。
しかし著者は、各種統計から、人的資源・社会インフラ・技術革新(イノベーション)・財政基盤などの基本的条件がここまで揃っている国はないと述べています(異議ナシ!)。

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