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偏見に負けずに生きる! 『大丈夫、私を生きる。』 山川記代香(きよか) 集英社


(9月16日記)

テーマは、「障害があって白眼視はくがんしされる中で、強く生きること」でした。

著者は1994年生まれで、約5万人に1人という「トリーチャー・コリンズ症候群」という障害を持つ女性です。
この障害は先天性疾患で、胎児期にあご、頬骨、耳への分化がうまくいかず、頬骨や眼窩下縁がんかかえん、あごの骨、耳がうまく形成されず、最悪の場合、頬骨、耳がまったくない状態で生まれてきます。
それにより、外見、顔に大きな特徴が表れる他、呼吸困難、噛み合わせ不整合、口蓋裂こうがいれつ、聴力に欠陥、ドライアイ、構音こうおん障害を伴うのです。
日常生活に支障が出るので、幼少期から形成外科、呼吸器内科、口腔外科などで何度も手術をします。
著者も頬骨を作り、耳を形成、歯列矯正など、多数回の手術を受けてきました。

冒頭、著者は三つの問いを提示します。

あなたは、どんな人生を歩んでいますか?
自分の生き方に満足していますか?
あなたという存在をどれだけ他人に伝えられますか?

著者が何度も向き合い、答えを探し続けてきたことでした。
なぜなら、「自分は人とは違う」ということを、いつも意識させられるからです。

著者の人生は、ただ歩いているだけ、買い物をしているだけ、ご飯を食べているだけなのに、通りすがりの知らない人たちから、上から下まで穴のあくほど無遠慮に見られ続け、その度にしんどくて悲しい思いをしてきました。
時には、「怖い」「変なカオ」「おばけみたい」とも言われ、見られながら内緒話をされたり、通り過ぎてからわざわざカオを見に戻ってくるなど、辛い思いをしているのです。
こんな奴ら、ぶっ飛ばしてやりたいものです!

著者は高3の時に経験した、ある出来事をきっかけに、自分の思いを発信するようになりました。

目次の一部をざっと紹介すると、

見た目は変えられない
視線という凶器
言い返せない私がしていること
人生を変えたマスク
メイクに挑戦
誰かがいるから頑張れる
ミルクが飲めない
補聴器を使い始める
この子をさらし者にしたくない
人はひとりでは生きていけない
初任給で伝えた感謝
自分の気持ちを伝えたい
四月が嫌い
熱血先生
なぜ言い返せないのか
みんなの前で気持ちを伝える
クラスメイトたちの行動
人前に立つということ
事件発生
見た目の障害があるとメディアに出られない?
知ろうとしないことは誰かを傷つけること
私の進む道
見えなかった将来の進路
社会人の洗礼
兄のひと言
一歩ずつでも前に進む
自分を大切にすること

などとなっていました。

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