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年末のご挨拶。それと、(美達の蔵出しオススメ) 『笑え、シャイロック』 中山 七里(しちり) 角川文庫 


<年末のご挨拶>

本年も読んで頂きありがとうございました。
感謝の念に堪えません。
皆さんにとって、どんな年だったでしょうか。
来年は今年以上に役に立つ内容を心がけますので、続けて読み、かつ、コメント待っています。
また、何か要望がありましたら、遠慮なくお知らせ下さい。
それでは、良いお年を迎えて下さい。健康第一で!!

美達大和拝

<緊急「大」ニュース!?>

来たる2024年2月16日、いよいよ『天晴!な日本人』がワニ・プラス社より満をして刊行されます。大久保、小村の他、乃木希典まれすけ、桂太郎の愛妾の、凜とした美人のおこい、高橋是清これきよ、小野寺まこと、東條英機、樋口季一郎ひぐちきいちろうの、日本人の魂を伝えます。超人気のおそれあり?あっという間に品切れとなる前に、アマゾンでの予約をしといた方がいいです!本年最後のラッキーチャンスです!?よろしく!!

<お知らせ>

年末年始のため、12月21日 09:40以降のコメントへの返信は1月11日アップになります。


<書評>


※2019年10月に旧ブログに投稿した書評です。ご留意下さい。
書影は文庫版です。

<本文>

オビには、

あの男は、銀行の闇を知り過ぎた
金融業の暗部をあばいた、ノンストップ・ミステリー

うたわれていました。金融業界とは銀行のことです。

本書の主人公は、結城慎吾ゆうきしんご。帝都第一銀行に入行して3年目、若手のホープと嘱望された若者でした。その結城が、エリートの登竜門とされる新宿支店に異動となったのですが、所属は花形の営業ではなく渉外部だったことから、結城のモチベーションは下がります。渉外部とは、不良債権の回収(集金)部門だったからです。

しかし、その渉外部で結城が出会ったのは、伝説の回収マンとして名高い、山賀雄平やまがゆうへいでした。山賀の異名は、

シャイロック山賀

です。シャイロックとは、『ヴェニスの商人』でユダヤ人の金貸しでしたね。覚えていますか?『ヴェニスの商人』を。



キリスト教徒の商人アントニオにシャイロックが金を貸しますが、担保はアントニオの肉体の1ポンド(約453グラム)の肉です。アントニオが出資した船が沈んで、予定していた利益が入らず、アントニオは返済できなくなり、シャイロックは肉体から1ポンドの肉を切り取らせろ、と迫って裁判となります。

法廷では、アントニオの友人のバサーニオの恋人のポーシャが判事に化けて、シャイロックをやっつけるのです。肉は取ってもよいが、キリスト教徒の一滴の血も流してはならぬ。もし反すれば、お前の財産の全てを没収して追放するという判決でした。それでシャイロックは断念し、物語は大団円で終わります。

シェイクスピアは、当時のユダヤ人(ユダヤ教徒)非難の含意も込めて、この作品を書きました。この当時、キリスト教では利息を取ることを禁じていたのです。なぜか?

はい、利息は時間(期間)の経過によってもたらされるわけですが、時間を支配する者は、神(キリスト教の法王の意味もある)であって、人間には許されないとしていたからでした。利息を取るいやしいことを許されていたのは、卑しい民とされたユダヤ人、ユダヤ教信者だったのです。

前にも書きましたが、私は小学生の時から、この物語はインチキだ、おかしいと言ってきました。理由は、通常の肉といえば、そこに血管(毛細血管も含め)や脂肪も当然含まれるとするのが自然ですから。アントニオは自身の肉1ポンドを担保に承諾した以上、返せないなら契約を履行すべし、と私は母や学校の先生に指摘していたのです。

今も全く同じ考えです。皆さん、車を買うという行為にはステアリングもタイヤも含まれますね。肉屋でその肉をくださいと言えば、それには脂肪も筋も含まれるのが常識です。鶏腿とりももならば、骨まで含まれます。

私の読んだ本は小学校高学年用だったせいか、キリスト教うんぬんは触れられていませんでしたが、私はこの契約が双方・納得の上で交わした以上、ポーシャの判決は間違いだと確信していました。現在ですとこんな契約は民法第90条の公序良俗に触れ、無効ではあるものの、ポイントは双方が納得した契約(当時は)ということです。

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