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(美達の蔵出しオススメ)『HHhH プラハ、1942年』 ローラン・ビネ

※2014年1月に届き、同年8月に旧ブログに投稿した書評です。ご留意下さい。




タイトルは、エイチ・エイチ・エイチ・エイチと発音します。著者はフランスの人で、小説第一作となる本作で2010年ゴンクール賞、リーブル・ド・ポッシュ読者大賞を受賞しました。

扱うテーマは、ナチスであり、そのRSHA(国家保安本部)の長官、ラインハルト・ハイドリヒの暗殺です。ハイドリヒは、「プラハの死刑執行人」「虐殺者」「金髪の野獣」「第三帝国で最も危険な男」と恐れられていました。そのハイドリヒを暗殺するために、二人のチェコ人の若者がプラハに送り込まれます。送り込んだのは、当時、ロンドンにあったチェコの亡命政府です。

決行は、1942年5月。物語は二人の若者と、彼らを取り巻くさまざまな人々、ナチスの高官たち、と政治状況も正確に描かれていました。二人がプラハに着いてから、幾多の困難があり、それを一つ一つ乗り越えていく過程もスリリングです。終盤に暗殺の当日がやってきますが、襲撃後、ナチスの凄まじい報復が始まります。

拷問、惨殺、大量処刑。若者をかくまったとされる村は焼かれ、住民は子供にいたるまで虐殺されました。暗殺した若者は教会に逃げ込んだ後に見つけられます。この後は、本書で確かめてほしいのですが、読みごたえのある、そして、考えることが物語以外にもあった書でした。それは本書が普通の叙述ではなかったからです。

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