「メディア、専門家という人種のウソにだまされるな!!」『円安好況を止めるな!』高橋洋一 扶桑社新書
(5月26日記)
本書のテーマは、サブタイトルにあるように「金利と為替の正しい考え方、それをもとに円安が「悪」ではないと、むしろ、追い風になっていることを照明する」というものでした。
読者の皆さんにはお馴染みの高橋さん、いつものごとく、各種のデータをもとに照明していました。
目次の一部をざっと紹介すると、
円安がチャンスである理由
円高・緊縮病を患った売国奴
財務省、金融庁、日銀に売国奴が潜んでいる可能性も
埋蔵金の外貨準備は国民のために売り払え
儲け話には裏がある 株式投資成功の秘訣は証券会社やマスコミを信用しないこと
社会主義国でのビジネス展開のリスク
金利を上げればロシアの二の舞になる
為替と物価のキホンのキ
為替レートは、どうやって決まるのか
予算の執行率が低ければGDPは上がらない
「貿易黒字が得」「貿易赤字が損」は誤解
価格と物価を混同したスタグフレーション
インフレ目標2%は失業率低下が目的
日本経済を蝕む七つの俗論
財政破綻論で増税を目論む財務省
貧困女子を使った格差・貧困論でP.V稼ぎするマスコミ
年金破綻論のウソ
日本経済を破滅へと導く消費税増税必要論
などとなっていました。
当レビューでも何度も書いてきたように、悪い円安というのはウソです。
円安というのは「近隣窮乏化政策」とも言って、交易において自国を富ます策なのです。
OECD(経済協力開発機構)の経済モデルでは、10%の円安で1~3年以内にGDPが0.4~1.2%増加します。
円安メリットを最も享受しているのは、「外国為替資金会計」、通称、「外為特会」で、日本の海外「純」資産は2021年末に411兆円と過去最高となり、もちろん世界一です。
円安によって日本経済は1~2%の「成長ゲタ」を履いています。
これは成長が1%なら、2~3%になるということです。
成熟しきった日本経済にとって、1%でも小さくありません。
GDPが530兆円なら1%は5.3兆円になります。消費税1%ぶんが、約2.5兆円なので、2%強になるわけです。
円安が追い風というのは、何度も書いてきたように、企業決算が最高を更新したことからもわかります!
2022年9月発表の2021年度の法人企業統計では、全産業の経常利益が前年度比33.5%!!増になる83兆9247億円で、1961年度以降、最大でした。
経常利益、プロは「経常」と呼びますが、その業種本来の利益を表す営業利益に、「営業以外の利益」、たとえば財テクの儲け、不要の土地、建物、備品を売った利益などを加えたもののことです。これ、覚えておいて下さい。
コロナ禍以前の水準を超えたというのがポイントです。
企業の内部留保にあたる利益剰余金は6.6%増の516兆4750億円、初めて500兆円を超えています。
アベノミクス以来、10年連続で増えました。こんなに貯めんなよ!です。
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無期懲役囚、美達大和のブックレビュー
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