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(美達の蔵出しオススメ)『ゼロ戦と日本刀』 百田尚樹・渡部昇一


※2015年6月に旧ブログに投稿した書評です。ご留意下さい。


<書評>

「一国の人々を抹消するための最後の手段は、その記憶を失わせることである。さらにその歴史を消し去った上で、まったく新しい歴史を捏造し発明して押し付ければ、間もなくその国民は、国の現状についても、その過去についても忘れ始めることになるだろう」

これは、ミラン・クンデラの『笑いと忘却の書』にある言葉です。

今年は大東亜戦争が終わって70年となりましたが、この言葉通りの国に(国民に)なってしまったな、という感がいなめません。本当の正しい歴史とは何なのか、日本人はよくよく学ばなければならない時です。そのような時に、本書は案内人の役割をしてくれる1冊でした。

無謀な戦争、勝算の全くない戦争とメディアや知識人の多くが言いますが、本当にそうであったのか、あの敗因はどこにあったのか、日本と日本人という固有の民族の性質をかんがみながら教えてくれます。

本書は、百田氏と渡部氏の対談形式で、ゼロ戦・戦艦大和という兵器から始まり、日本の陸海軍のセクショナリズムの弊害がいかに戦争遂行の妨げと、物質の無駄使いになったのか、大本営だいほんえいをはじめとする、机上で作戦を立案するエリート参謀たちの失敗や現場での司令官の采配さいはいミス及び人事のまずさなど、あの戦争を学ぶ上で避けられない問題点が列挙されていました。

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