にっしんのきつねのおはなし
物語をさがして vol.22
私が住んでいる愛知県日進市は名古屋市のお隣に位置しますが、東には東部丘陵が広がり、まだ自然も多く残されています。
我が家の近所の草むらや林ではキジやイタチのような野生動物を見かけることがあります。イノシシ出没の情報も回覧やメールで時折流れてきます。小学校ではタヌキやアライグマの目撃情報もあったそうです!
高校生の息子は、家への帰り道に、時々同じ場所でキツネに会うことがあるのだといいます。山や雑木林、田畑の近くだということなのですが、私は見かけたことがありません。以前に保育園の園長先生もキツネを見たとおっしゃっていたので、いつか会ってみたいなあと思っています。
そこで今日は、『岩崎誌』岩崎誌編纂委員会「民話」の中から、日進市に伝わるきつねのお話を3つ、ご紹介したいと思います。
にっしんのきつねのお話
その1「きゅうてんきつね」
第1回の記事「はじめまして! イラストレーター・絵本作家のニシハマカオリです」でも話題にしました、大応寺(愛知県日進市岩崎字神明142)に伝わる民話です。
とても短いお話なので、住職の言われていた上下巻からなるという長いお話というのが、アンソロジーなのか大長編なのか・・・気になって気になって仕方がなく、これは自分が書かないといけないかもとさえ思ってしまいます。
にっしんのきつねのお話
その2「青山きつねが子どもをさらう」
『岩崎誌』では青山の青を、麦畑の青と重ねています。麦畑の中で迷子になるくらい夢中で遊ぶ子供たちも楽しそうです。あおやまぎつねは恐れられていたようですけれど。
にっしんのきつねのお話
その3「お歯黒きつね」
きつねが女性に化けて、若い男性を騙そうとしたお話です。だますといっても金銭目当てでもなさそうですし、素敵な男性と一緒に歩いてみたかっただけなのかもしれないと思うのですが、どうでしょうか。
このように、昔話にはたくさん登場する きつね。
今はめったに姿を見せませんが、その里山や雑木林で、そっと生活をしているのかもしれません。
最後に、私のお気に入りのお稲荷さんをご紹介します。
私の仕事場には日本三大稲荷である「伏見稲荷」「豊川稲荷」「お千代保稲荷」のお守りがあって、定期健診の歯医者さんのついでには必ず「三好稲荷」にも立ち寄ることにしているのですが、ここは特別にいいです。規模は断然小さいのですけれど。
狐塚稲荷社(愛知県日進市岩崎町阿良池67)
田んぼの中にぽつんと立っている、ただならぬ雰囲気の小さなお社です。
いつ行ってもだいたい無人なのがいいところです。
いい看板ですね。
鳥居をくぐってぐるりと回ると、お社にたどり着きます。
きれいに塗られた朱の鳥居。
お社の周りや植込みもとてもきれいに手入れされています。
新しい苗木も植えられており、地域の方が熱心にお祀りされている様子が分かります。ここは古い地図で見ても100年以上ずっと畑だった場所。地名も「狐塚」ですので、長い間五穀豊穣の神様として祀られてきたのだと思います。
あれ?黒い扉に何かが見えます。
見えますか?
小さな、誰かの手の跡。
かわいい肉球のような、爪痕のような。
いくつも足跡が残っています。
お社の中に何かお目当てのものがあったのでしょうか。
狐塚のお稲荷さんとお話をしていたのは誰でしょうか。
ネコちゃんでしょうか?
いや、それとも・・・?