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「変わるきっかけはどこにでもある」/強いセリフの裏側にある三田紀房の経験と人生【前編】

『クロカン』
『ドラゴン桜』
『インベスターZ』
『エンゼルバンク』…

三田紀房作品はどれもインパクトのある表情と、強烈なセリフが印象的だ。

そんな強いコマと強いセリフが散りばめられたカレンダー、「三田紀房/時は金なりカレンダー2021」が9月8日発売された。

(売り切れました。)

三田紀房が生み出す個性豊かなキャラクターたち。
彼らが繰り出す、魅力的で強い言葉の裏側にはどのような想いが込められているのか。

三田先生にそれぞれのセリフにまつわるエピソードを伺いました!

(取材・構成:井上皓介

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カレンダーには三田作品の強烈なセリフが散りばめられている。

三田:
「カレンダーいい感じに仕上がったね。」

ーーはい。三田作品の強いセリフとヒキのあるコマをふんだんに入れて、見た人が「頑張るぞ!」と思えるようなカレンダーに仕上げました。

三田:
「なるほど。お疲れさまです。」

ーーカレンダー発売特別企画として、「三田作品の強いセリフに込められた背景を知りたい」というテーマで、カレンダーで使用されているセリフの裏側にある三田先生の経験や実際の学びについてお伺いできればと思っています。

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三田:
「なるほど…。良いとは思うけど、おれけっこう細かいことはすぐ忘れちゃうから、そういう意味でけっこう難しい企画だね(笑)」

ーー編集会議(漫画の次回話についての打ち合わせ)で三田先生がおっしゃっていた、マンガ家を目指したきっかけや働き方についてのお話が好きです。なので、今回はカレンダーに掲載されているセリフに関連したエピソードを話していただけたら嬉しいのですが…

三田:
「なるほど。それだったら、1月のカレンダーに載っているセリフがまさに僕のマンガ家デビューを一言で表しているセリフかもしれない。」

マンガ家・三田紀房の原点がここにある!
「考えるな!動けっ!行動するヤツだけが勝つ!」

三田:
「おれ、大学時代は剣道とバイトに打ち込んでいて全く就職活動のことなんて考えていなかったわけ。」

三田:
「それでお盆の後に大学の就職課に行ったら、『今ごろ来て何考えてるんだ。もう流通かアパレルしか受けられないぞ。』と言われて。それで流通大手の企業を2−3社勧められて百貨店に就職したの。」

ーー三田先生にとっては、不本意な就職をしたという感じだったんでしょうか。

三田:
「いや、大学時代のときになりたかったのってサラリーマンだったから、就職できたこと自体はとても嬉しかった。実家が洋服屋で、親が年がら年中働いていて、『親みたいに働きたくないな』って思ってた。だから、年中働かなくても給料が貰えるサラリーマンっていいなと最初は思ってた。」

ーーそうだったんですね。その後1年経ってから会社を辞めて、実家の家業を継いだと伺いました。

三田:
「百貨店でサラリーマンをやるのは、ストレスフリーだし休みも給料も安定しているから悪くはなかった。けど、3ヶ月位かな、『あれ、百貨店の仕事ってこんなもんか。これを一生やるのか』って思い始めてからは仕事があまりおもしろくなかった。」

三田:
「そんな風に考えていたから『父が病に倒れたから家業を手伝え』と連絡が来た時はすぐ会社に『辞めます。お世話になりました。』って言って実家を継ぐことにしたの。」

ーー実家に戻った後は、家業の経営にかなり苦しんだとお聞きしたことがあります。

三田:
「当時、大型ショッピングモールが地方展開を始めて猛勢を奮っていた時代で、個人店に勝ち目なんてないわけ。そんな時に父が事業でかなり借金していたこともわかって、なんとかしてお金を稼がないといけなかった。」

三田:
「そんな時にたまたま漫画雑誌を読んでいたら“新人賞募集中!大賞には100万円”って書いてあってさ。で、漫画雑誌に掲載されている受賞作を見てみたら「これくらいならおれで描けそうだな」と思えたの。だから描き始めてみた。絵は昔からそれなりに描けたし、当時は喉から手が出るほどお金が欲しかった。こう言うと驚かれるけれど、ぼくは”お金のために”マンガを描き始めたんだよ。」

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喉から手が出るほど、ほしい!

ーー家業を経営しながら漫画を書くのは大変だったのではないですか?

三田:
「当時お客さんが本当に入らなかったからね。とにかく暇だったから、店番をしている時に描いてた(笑)。それで描きあがったものを応募したら、賞は取れなかったものの最終候補にまで残って。初めて描いた作品が最終候補まで残ったわけだから『これは可能性がある』と手応えを感じたわけ。だから少し改善して次にもう一度応募してみようと出したら、ちばてつや賞を頂けた。」

ーー全く制作経験がない中で応募するだけでもスゴイのに、新人賞に入賞しちゃうなんて……本当に驚きです。

三田:
「ぼくの考えは『”制作経験がないから”応募してみよう』なんだよね。ある程度の分析は重要だけど、まずはトライしてみて自分の実力を知るために行動するほうが大事。みんなマンガ家になろうと決めたら、『準備が大事』だと思って絵の練習やストーリーの勉強をし始めるけど、ぼくからしたら『準備は1円にもならない』。とりあえず応募すること、つまり行動することのほうが大事。

ーーなるほど…とにかく「考えるな!動けっ!」を実践したことがマンガ家デビューに繋がったんですね。

三田:
「うん。動いたら何かしら結果が出る。そのときに継続するかどうか、継続するなら何を改善したら良いのかを考えればいい。練習なんていらない。とにかく何よりも大事なのは、行動力だよ。

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「考えるな!動け!」
そのメッセージは三田作品の随所に散りばめられている…

たとえ反対されても、無視しろ!
「大きな成功を得るには“まとも”じゃないこと」

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ーーとはいえ、いきなり漫画を描き始めたことにご家族は相当驚いたんじゃないですか?

三田:
「いや、新人賞に応募することは、誰にも喋らなかった。」

ーー家族にも相談しなかったんですか?

三田:
「だって相談してもどうにもならないじゃない。それにわからない人に話してみたところで『わからないからやめとけ』って言われるでしょ。」

ーーもし相談して反対されていたらマンガ家三田紀房は生まれていなかったってことですか。

三田:
「そんなこともないかな。だって、たとえ反対されたとしても無視するから(笑)。だって相手に迷惑をかけるわけじゃないんだし。迷惑かけるわけじゃないんだから相談しなくていいし、たとえ反対されてもやればいいの。

ーーなるほど…!これは11月のカレンダーに掲載されている『大きな成功を得るにはまともじゃないこと』というセリフに通じるエピソードかもしれませんね。

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三田:
「まあ、そうだね。それだと『ドラゴン桜2』の作画完全外注とかも良い例かな。『ドラゴン桜2』は作画を外部にお願いしているのは、知ってるよね。これまで原作・作画という漫画制作においての分業体制はあっても、デザイン会社に作画を完全に外注するという形態はなかったわけじゃない。前例のないことだったから、失敗する可能性もあった。」

三田:
「でも、ぼくはこう考えた。もしこのスタイルが確立できたら、自分たちだけの利益ではなく、マンガ業界全体の利益になるんじゃないかって。作画外注の体勢を整えるのには入念な準備が必要だったし、スムーズな制作の流れを確立するのには時間がかかった。」

三田:
「でも今では、ぼくはこのシステムのおかげで週刊連載を2本続けられているし、制作が遅れて休載したことは一度もない。『ドラゴン桜2』はモーニングで人気連載作品になって、ありがたいことに実写ドラマ化も決まっている。まだ『ドラゴン桜2』は続くけど、結果的に作画外注のスタイルにチャレンジしてみてよかったなって思ってるよ。」

ーー「大きな成功を得るには〜」のセリフのあとにも書かれていますが、成功するためには勇気が大事ってことですね。

三田:
「うん。多くの人が相談したり準備を入念にしたりするのは、きっと『不安』だから。でも、不安でもとりあえず勇気を出して動いてみる。「まともじゃないこと」って言葉は「自分を信じてやってみること」って言い換えてもいいかもしれない。

三田:
「失敗することはもちろんあるけど、自分を信じてやらないと成功はできないからね。変わるきっかけはどこにでもある。あとは勇気があるかどうかだね。

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恐れずに、まずはやってみる。
三田作品は一歩踏み出すことの大切さを教えてくれる。


ーーー(この記事の後編は、来週土曜日に公開します。)ーーー

「時は金なりカレンダー2021」が現在数量限定で発売中

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この記事で取り上げられたセリフが含まれた
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