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人気コミック邦画「クソ化」の本質

映画製作を仕事にしている身にとって、見逃せない記事が目に飛び込んだ。「日本を愛するマーベル重役「なぜ日本の実写化はクソなのか」を語る 的確過ぎて何も言えねぇ!」というもので、ネットを賑わせている。

元ネタの記事は映画ぴあの「日本を愛するマーベル重役が語る映画『シビル・ウォー』の魅力」で、この記事の一部を取り上げて2ちゃんねるらしい煽り記事が作られた、というわけである。

2ちゃんねるで引用されたのは、以下の部分(太字は筆者による):

マーベル作品はアメリカだけでなく、世界各国で大ヒットを記録しており、長年コミックを読んでいる熱狂的なファンとも友好的な関係を築きあげている。一方、日本では人気コミックが実写化されると成功する作品もあるが、原作のイメージを著しく損なっていたり、ファンの期待を大きく裏切る作品が存在する。日本のコミックを心から愛するCBさんは「日本には非常に優秀なフィルムメイカーがたくさんいるので、はっきり言いますが“作り手”の問題ではないと思います!」と断言する。「私の個人的な意見を申し上げますと、マーベルにあって、日本の映画にないものは、ふたつあります。ひとつは大きな“予算”です(笑)。もうひとつは、ビジネスモデルの問題ですね。日本ではひとつの作品の権利を、作家さんと出版社が分け合っていたり、映画化するとなると出資者が絡んできて、様々な人たちの思惑と意見がごちゃ混ぜになって、映画が迷走してしまうんだと思います」

一方のマーベルはモデルが非常に明確だ。「マーベルの映画は、ひとつのユニバース、ひとつのカンパニー、ひとりのプロデューサーで製作されています。プロデュースを務めるケヴィン・ファイギというひとりの男のビジョンで映画が製作されているので、一貫性が保たれているんですね。それにケヴィンはマーベル作品を知り尽くしていて、作品のことを心から愛していますから、ファンから信頼を得ているんです」

一方で、マーベル重役 CB・セブルスキーさんはこんなことも語っている:

マーベル映画は「みなさんが思っている以上に日本の漫画に共通した部分がある」とCBさんは言う。「日本の漫画というのは、とても題材が幅広くて、恋愛を主体にした少女マンガもあれば、スポーツものや、動物ものや、料理ものまでありますよね!この映画も誰が観に来ていただいても必ずコネクトできる部分があります。(以下略) 

これは裏を返せば「日本の漫画にも、世界中の人に対してコネクトできる部分がある」と言っているわけだ。セブルスキーさんが大の日本漫画好きなのも、日本の漫画の持つ魅力が海を越えて愛されている何よりの証拠だ。日本の漫画アニメはクールで、それを輸出したらいいじゃないか、という考え方の根本は間違っていないと思う。(これはエクセキューションが問題なのだが、別の機会に)

では、何が日本の実写映画化を「クソ」にしているのか? 一言で言ってしまえば予算(ビジネスモデルも結局は予算の問題に含まれる)なのだが、それには理由がある。

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