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不眠症だった頃の私が破壊したもの6選!

眠れなくなって気がついた。

睡眠とは翌日の自分を”人間”にするための工程だ。

経験した人なら分かると思うけど、眠れないってつらい。

眠るってことは意識がなくなるようなものだと思っているけれど、眠れないと自分の中に自意識がずっとある。

自分と自意識って別なの?って自分で書いてて今はそう思うけど、当時はそんな感覚だった。

自分から自分がどうしても離れていかないような感覚になる。

くっついて離れない自意識はどうしても手では触れなくて空気を掴むような存在で、消したくてたまらないのに眠る以外に消し去る方法がない、でも眠れない。

今までの不眠症は薬での治療をしたことがなく、なんとか自力で直した。

不眠症の程度は本当にさまざまだとは思うけれど、自分の場合は2週間〜1ヶ月続くものだった。

20代後半に不眠になったときが一番ひどかったけれど、日常生活でのストレスも相まって眠れない夜中や朝方、または昼間に眠れなさすぎて人間としての理性が整えられず獣になっていろんなものを文字通り破壊してきたのでそれをただただ記録してみます。

(不眠でないときは温厚な性格だと思うので何も壊したりしません!)



クッション

忘れもしない、ニトリで買ったロールケーキの形をしたもちもちの可愛いクッション。

ソファの端に置いてあり、いつもそのクッションを抱えてもちもち感触に癒されていた。

不眠の真っ只中に夜中になっても眠れなくて寝室を出てリビングのソファに行くことがしばしばある。

この日は凶暴化スイッチが入ってしまい、泣きながらお気に入りのクッションですら破壊の対象になり手で外の布を破り、中の綿がほとんど出てしまうまでぐちゃぐちゃにした。

ふぅと気が済むと、鼻をすすりながらも冷静にゴミ箱に詰めた。


クローゼットの扉

全然眠れず理性が安定しないまま朝を迎え、会社を休んだ。

晴れ渡ったさわやかな朝だったが、カーテンを閉め切って虚ろな目でぼーっとしていた。

覚えていないが、何かを投げつけたら扉の足元あたりの位置に凹みができてしまった。

賃貸だったので退去の際は覚悟していたが、小さかったためか何も請求されなかった。(ほっ)



ランチョンマット

夜な夜なベッドを抜け出し、ダイニングテーブルに突っ伏すこともあった。

目の前にあった猫柄の可愛い色違いの2枚のランチョンマットを調理バサミで適当に切ったり手で破いたりした。

翌日100円ショップで同じものを買い、元の位置に置いた。

いつも通りのダイニングテーブルの景色に戻した。



しゃもじ

炊飯器の中が空っぽだった。

我が家にはきちんとしたルールというものはないが、ご飯を食べ切ってかつ時間に余裕がある場合は、食べきった人が炊飯釜を洗いお米を研いで炊いてまた食べられるような状態に準備しておくことがなんとなくの習慣だった。

よく眠れていてメンタルも安定している自分だったら空の炊飯器も見ても、あぁ朝はバタバタだから仕方ないもんね、とかまぁこんな日もあるよね、と洗って研いで炊く。

もともとお米の準備は料理のように心の底からの苦手意識もなくどちらかと言うと好きな方だ。

だが不眠を極めたタイミングで空の炊飯器を目撃した私はパートナーに心の中で悪態をつき、気づけば炊飯器のすぐ側に置かれたしゃもじを床に思い切り叩きつけた。

1回ではしゃもじは綺麗なままだったので、拾って今度は壁に投げつけた。
米をすくう平べったく丸い部分と、持ち手の部分で真っ二つになるんだと思いきや、斜めに欠けたりすることで中の空洞になっている部分が見るようになった。

てっきりしゃもじは中身が詰まっているものだと思っていたので、しゃもじの内部の構造を初めて知った。



ジョイントマット

寝室にはいつでもストレッチや筋トレがしやすいようによくあるキッズルームにあるような柔らかいジョイントマットを敷き詰めていた。

こちらも朝方、液体のように布団から雪崩れ落ちてそのままジョイントマットに眠れない怒りをぶつけた。

爪を立てて猫のようにマットの表面を無心でガリガリガリガリした。

マットは丈夫なので少し削れるくらいだったが、それよりも自分の爪の方のダメージが大きかった。

血が出たりなどはしていないが結構痛かった。



シーツ

ベッドの上で夜中にいきなりのたうち回ることがあった。

理性がどこかへ行き猛獣のように叫ぶこととそこにあるものを破壊したくなる衝動が抑えられなくなる。

うつ伏せの体勢からそのまま起き上がり自分がいるところのシーツを手で引き裂いた。

その後冷静になり鍼と糸で縫うことになるのだが、無心で夢中になれるので縫い物は好きな方だ。



以上。

不眠になるたび思うのだけれど、人間は眠っている間に脳の理性を司る部分が整えられている気がする。

次の日の人間である自分は睡眠している間につくられると思う。

全く眠れない日やなかなか眠れない日(睡眠時間が平均2時間など)が続くと、だんだん言語を持たない動物になった気分になる。

自分の感情は誰かに話さずとも、自分の脳内で自分には聞こえるように言葉となって現れるが、不眠が続くと感情が言語化されず、そして制御もされない。

眠れないことに対してイライラしているのか、それとも眠れないことで自分が人間でなくなり怒りの感情をもった動物になるのか、どっちなんだろうといまだに思う。

また、眠れないと訳もなく悲しくなって泣いたり叫んだりする。

その悲しみが進むと怒りになって物を破壊するという流れだ。

現在は不眠に悩むことはほとんどなくなったが、一番最近不眠になりかけたときはやはり経験を積んでいるため、あ、これやばいやつだとどこか自分を俯瞰することができ動物になるのを制御できた。

自分の不眠の程度がどれくらいかはわからないが、薬を使って治療したことはない。

不眠になるたびに心療内科には電話するのだが予約が取れず1週間後や2週間後にと言われるのだ。

最後に、私が不眠を打破できるいちばんの方法は、眠れずに夜が明けて日中に眠くなっても無理やり起きていることだ。

どんなに眠くても歩いたりして起きているようにすると比較的その日の夜は眠れるようになる。

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