引っ越して半年

始めまして。

東京に育ち、大学進学を機に秋田県へとやってきましたが、昨今のコロナ情勢で、大学生活に身も入らず、気づけばもう就活とか院進とかそんなことを考えなくてはいけない時分となってきまして、どうにかしなくてはならなくなりました。

今年の3月までは秋田市の大学すぐそばに暮らしていた私ですが、三種町に引っ越してきたのはある種運命に似ております。私がまだ中学三年生のころ、友達の祖父母の家がある二ツ井に遊びに行く機会がございました。その時になんとなく来て電車を降りてみた三種町の中心駅、森岳駅はなぜか私にシンパシーを感じさせました。子供心に理論も理由もなく、ただ「将来ここに住みたい」と思わせたのでした。

それから月日は流れ、大学生となりそんな思いなんてすっかり忘れて秋田へとやってきました。一年目は精力的に大学生活を満喫し、よく学びましたが二年目からコロナ情勢となり、気づけば堕落した私がおりました。そんな私をどうにか変えたい、そんな思いから遠くへ引っ越すことを思い立つのです。

本当にいろいろな場所で物件を探しました。五城目、八郎潟、大館、井川、潟上、男鹿…

でも、私が求め、親も了承する家はなかなか見つかりませんでした。そんな中見つかったのが、三種町でした。家の内見に訪れ、森岳駅で列車を降りたとき、私はあの頃思った幼くも強い思いに再び抱かれたのです。

それから半年、私はこの秋田県・三種町その周辺地域を題材に短編を書きたいと思い出しました。半年間、この町で暮らし、周辺に出かけてみて、その魅力を十分に伝えるにはこの方法が良いのではと、思ってやまないからでございます。

稚拙ではございましょうが、少しでもこの街や秋田県のことを皆様に伝えられれば幸いでございます。

森丘　竜