面白くて印象深くてオススメしたいフリーゲーム10選(後編)
前編がnote公式にオススメ紹介されてひっくり返ったりしてました。嬉しさと同時にあんなろくに推敲もしていない面白味もない散文のまま投稿しなきゃよかったと深く後悔もした。
かといって今回の記事でオススメ記事一覧に並んでいても恥ずかしくないような文を書けているかというと……
そんなことはマジでどうでもいいので本題に入ります。ちなみに前編はこちら。
あと前回に比べかなり長くなってしまったのでそれなりに時間があるときに読むのをおすすめします。
■メイジの転生録
一度プレイしたら一生忘れられない度は当記事で紹介した中でも随一だと思われる作品。
上記のスクショのようなパワーの強すぎる文章、絵、展開がタイトル画面の「運命転生」(はじめからの意)を押した瞬間から凄まじいテンポで展開される。
単なるネタゲーに収まる枠ではなく、コンパクトながらも王道少年漫画のようなシリアスで熱い展開のシナリオに個性の強すぎる魅力的なキャラクター、ユーザビリティの高さ、奥深い戦闘システムといちゲームとして完成度も非常に高くまとまっている。
単体でも楽しめる作品ではあるが、この作品を語るうえで外せないのが前々作である10年以上も前に公開されたメイジの悲劇嘆の存在である。
おそらく作者氏がリアル厨二の頃に作られたであろうこの作品はDLページの誤字(?)からしてヤバげな匂いを漂わせ、プレイしてみればあのころ初めてRPGツクールを触った感満載なつくりのマップにツッコミ過労死を引き起こすテキストと絵の嵐が襲いかかってくる。
その頃のストーリー、世界観を若気の至りや痛い黒歴史で片づけずに10年以上の時を経て公開されたのが前作のメイジの因果録、そして本作と続く。
この二作での設定、ファンの間でネタにされたテキストやセリフも織り交ぜたうえでの技術や演出力は笑えないほど向上しており、作者氏の自創作への真摯すぎる向き合い方には舌を巻くほかない。
したがって、これを読んだそこの君ももし前世覚醒する気になったなら是非ともこの二作を事前にプレイしてほしい。感動が5000倍は増す。
少々長くなってしまったがまず上のスクショ、下記の作品ページへのリンクを見て何か旋律を感じたら迷わずDLしてみてほしい。プレイ時間はどれも1~3時間ほどで気軽に遊べる。
— † 前 世 覚 醒 せ よ † —
— † 前 世 覚 醒 せ よ † —
— † 前 世 覚 醒 せ よ † —
■AN EARTH
(SpecialEdition版のみをプレイしたうえでの感想です)
MOTHERをオマージュ、リスペクトしたフリゲRPGは数多くある。私が好きな作品にもそのようなものが多い。
しかし本作はその中でもとりわけアクが強く挑戦的な作風をした部類に入る。
タイトル画面(載せたらnoteに消される可能性がゼロじゃないので掲載は見送る)とろくでもない言動ばかりの登場人物にパロディ満載の敵(図鑑のテキストも必見)と全体的に反社会的なスタンス全開な雰囲気はこの間まで大人気だった某クソアニメが好きなら高確率で惹かれるだろう。
これを世に送り出したきっかけが元である正統なマザーライクRPGを作っている時に「MOTHERとUNDERTALEの劣化コピー」呼ばわりされたことがきっかけの一つだというのが申し訳ないがめちゃくちゃ面白い。さらにはMOTHER未プレイらしいのもめちゃくちゃ面白い。ホントかよ。
そんなでもストーリー自体はわかりやすく伏線が撒かれており、最終的には(悔しいが)泣けてしまう昔のRPGらしい出来。回復セーブポイントも過剰なほど多く作風に反してプレイヤーには親切な作りなのもズルい。最序盤からものを拾って無限に金稼ぎができてそれが何か?と言わんばかりのバランスはむしろ非常に"らしい"のかもしれない。
■引き裂かれたバダール
スズメの主人公が階層ごとに全く違う様相を見せる謎の塔を登っていくRPG。
本作はもともと2chの喪男板のスレで展開されていた作品群の流れを汲んだ作りとなっており、それをさらにVIPRPGという同じく2ch発祥のツクールのアングラ感が強いコミュニティ上で発表されたものである。
したがってさまざまな事情で社会から爪弾きにされた負け組達の嘆き、諦観、ド直球で生々しい下ネタやブラックジョークのオンパレードと存分に人を選びまくる内容。
しかし各階層で繰り広げられるそのストーリーは隔世的ながらも暗くなりすぎず、現代社会に様々な辛みを抱えているプレイヤーを追い詰めることなくほどよい余韻や考えさせるものを残す心地よい読後感を与えてくれる。
それでも本気で病んでいる人は一部のNPCの台詞や場所にメンタルをやられてしまうかもしれないが……
NPCの台詞や本棚の中身に仲間たちがさまざまな反応や常識的なツッコミをしてくれて和んだり、強烈なデザインをしたモンスターの図鑑を集めてこれまたブラックさとかなしみが全開のテキストを読みふけってしまったりと探索好きにはたまらない。
本作のみでも十分完成されているが、何作かシリーズ物として前作や続編、スピンオフが存在するので気になったら調べてみるといいと思う。
私自身も大きな影響を受けている大好きなシリーズなのでいつか全作通してプレイし直して気力があれば詳しく個別記事もまとめていきたい。
DLページ(実行ファイルについては以下略)
■SPIEGEL EI
虚ろな少女がサイコで不安を煽る鏡の中の世界と外を行き来するADV。
見た目はIbなどの人気ホラーフリゲに似ているが中身はまったく似て非なるものであり、瞬間的な恐怖よりはどこか心地よさすら感じる非日常の世界に飲み込まれていく感覚を味わうものという印象が強い。心臓に悪いホラーが苦手な私のような人間でも楽しめる。
丁寧なグラフィックで描かれる鏡の中の世界は幻想的かつ静かに狂っており、だんだんプレイヤー側も日常と非日常の境界線が曖昧になっていく感覚を覚える。
「はい」「いいえ」といった選択肢を選ぶだけでなく、それをキャンセルすることで主人公アイが自らの言葉を発するというシステムが特徴的で、それは物語の主題に大きく関わっていく。ネタバレにならない程度に言うと心理学に深く関わっている。
エンドは複数あり、中には意表をつく演出も存在する。ゲームだからこそできる演出だ。
ぜひ全エンドを見て"プレイヤー"としてアイの行く先を見届けてほしい。
■四月馬鹿達の宴
戦闘・キャラクターの台詞・ストーリー演出ともに非常に秀逸で作り込まれたRPG。
自作戦闘が非常によくできており、一見無理ゲーに見える敵でもシステムと攻略方法を理解しそれを初めてうまく捌けたときの快感はこのゲームはとりわけ強い。
所詮フリゲの戦闘だからと舐めてかかっている諸兄にこそこの戦闘システムは味わっていただきたい。
あ、頭を使う戦闘は無理!といった場合でも経験値稼いで能力振りまくってゴリ押しでも割とラストまでいけちゃうので安心してください。
そして唯一無二っぽいテキストセンスと少ない線と色で表現されるノスタルジックで美しいグラフィック、そしてこのゲームのために作られたんじゃないかと錯覚するほど優れた選曲によるフリーのBGMで演出される物語。
無料でここまで感動を味わえるとは。すさまじい世界ですよフリーゲーム。
総じてゲーム慣れしてない人よりはある程度RPGの戦闘、ストーリーの表現への造詣が深い人ほど深く刺さるものがあるのではないかという作品。
ちなみに同作者によるさいはてHOSPITALも非常にオススメ。むしろこの記事の傾向的にはこちらのストーリーのほうが合ってるのではないか。
メタクソ長くなったが最後に。
創作、自分の世界を表現する媒体としてゲームを選び、またゲームの特性をフルに活かせている人達が私は大好きだし、心から尊敬している。
これを読んでいる人達にもそれが伝わるといいなあ。そして気になる作品があったら一つでもプレイしてくれるといいなあ。ゲームにしかできない表現は自分でプレイしなきゃ絶対味わえないものだと思うので。
さあDLしましょう。環境の合ったPCさえあればすぐですよ。なんと全て無料。金払いたい。
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