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【資産運用】投資効率はシャープレシオで考えよう


シャープレシオとは

2024年から拡充されたNISAのお陰で、わが日本でも投資機運が盛り上がっている。

しかし、忘れてはならないことは、投資にはリスクが付き物であるという厳然たる事実だ。リターンを狙うにはリスクを受け入れなければならないのだ。

せっかくリスクを受け入れて投資をおこなうのであれば、できるだけ効率的な資産に投資したいと考えるのが人情というものである。

では、投資の効率とは、どのように測ればいいのだろうか?

投資効率を表す指標としては、ウイリアム・シャープが提唱したシャープレシオが有名だ。

シャープレシオの定義は以下のとおりリターンとリスクの比率で与えられ、極めてシンプルだ。シャープレシオの値が大きいほど、投資効率が高いと判断される。

なお、本記事では説明の簡便のため、簡易的な定義を採用している。

本記事内での定義:
シャープレシオ=リターン/リスク

本来の定義:
S.R.=(リターンー無リスク資産の利子)/リスク

シャープレシオの定義

定義より、横軸にリスクを、縦軸にリターンを配置したグラフで考えると、各資産の値と原点と結んだ線の傾きがシャープレシオに相当する。

シャープレシオによる資産の分類

下記グラフのように、各資産のリターンとリスクの関係をプロットすると、資産は4種類に分類することができる。

  • 資産A:ローリスク・ハイリターン

  • 資産B:ローリスク・ローリターン

  • 資産C:ハイリスク・ローリターン

  • 資産D:ハイリスク・ハイリターン

三鷹 台. 本書社. 2023. "資産運用の新常識"

資産Bと資産Aを比べると、リスクの値が同じである一方で、リターンは資産Aの方が高く、シャープレシオ(矢印の傾き)も資産Aの方が大きい。従って、資産Aの方が投資効率が高いと言える。

資産Bと資産Cを比べると、リターンの値が同じである一方で、リスクは資産Bの方が低く、シャープレシオ(矢印の傾き)も資産Bの方が大きい。従って、資産Bの方が投資効率が高いと言える。

資産Bと資産Dを比べると、リターンの値もリスクの値も同じで、シャープレシオ(矢印の傾き)も同じ値である。従って、資産Bと資産Dの投資効率は同等と言える。

どの資産を選ぶべきか?

上記を踏まえて、どの資産を選ぶべきだろうか?

一番シャープレシオ(矢印の傾き)が大きく、投資効率が高いのは資産Aだから、資産Aが最適解なのだろうか?

答えは、Noだ。

資産A:ローリスク・ハイリターンは、一見魅力的な商品に見えるが、そんな都合の良い資産は世の中には存在しない。ローリスク・ハイリターンを誘い文句とする商品は、間違いなく詐欺商品だ。

資産Aには、決して手を出してはいけない。

もう一つ、資産C:ハイリスク・ローリターンも購入してはいけない商品だ。こちらは詐欺ではないが、リスクだけ背負ってリターンが少ないダメダメ商品なので、手を出さないのが身のためだ。

こんな商品買う人がいるのかと不思議に思われるが、手数料のやたらと高い投資信託やラップ口座などは資産Cに分類される商品であり、意外と知らずに購入している方は多いのではないか。

結局、世の中に存在する真っ当な商品は、資産B:ローリスク・ローリターン資産D:ハイリスク・ハイリターンのいずれか、もしくはその中間の商品でしかない。

ちなみに、資産B:ローリスク・ローリターンの代表格が債権、資産D:ハイリスク・ハイリターンの代表格が株式である。

我々が投資資産を選択するときは、資産B:ローリスク・ローリターン資産D:ハイリスク・ハイリターンを結んだ直線上に位置する商品を選択する必要があるのだ。

※この記事は、個人の見解を述べたものであり、法律的なアドバイスではありません。関連する制度等は変わる可能性があります。法的な解釈や制度の詳細に関しては、必ずご自身で所管官庁、役所、関係機関もしくは弁護士、税理士などをはじめとする専門職にご確認ください。
また本記事は、特定の商品、サービス、手法を推奨しているわけではありません。特定の個人、団体を誹謗中傷する意図もありません。
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お金の教科書

もっと詳しく知りたい方は、拙著『資産運用の新常識』を参照ください。


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