最前列のこと

推しの舞台最前で入った。(かなり前に書いてそのまま公開せずにいた記事です。供養。)



わたしは良席に積むタイプではなくて公演数に積むタイプのオタクで、良席に入ったこと実はあんまない。良席に興味があるかと言われれば、そりゃ席は良い方がいいしクソ席にはキレるけど、お金を積むほど興味はない。チケットに関して、自分の名義は当落にだけ最強で外れたことはほぼない。1回ご用意されなくてもその後の抽選でご用意されるから入りたかった公演とかイベントに入れなかった経験なくて。ただ席運はない。だいたい1階席真ん中あたり。た~~まに本当のクソくる。最速の有料ファンクラブ先行で3階席来た時はさすがに前世で村でも焼いたか?と思った。ほんとクソ。

そんなわたしが最前列て。前の日の夜、緊張からホテルで全く寝られなくてやばかった。こんな寝られんことあるかね?と思って。遠足前の小学生かて。開演前も最前列座ってずっと足震えてて。幕が上がって出てきた推し。最前列でみた推しは、今までのどの席からみた時よりも一番遠かった。

劇中のわたしがいちばん好きな曲、1番が推しのソロなんですけど、ずっとゼロズレで歌ってくれたんです。劇中だからわたしのことは視界に入ってなかっただろうけど。泣いちゃった。最前列ではオペラグラスを使わなくても推しの行動表情のすべてが見えた。足首や手の甲の浮き出ている血管も汗も、ちょっと荒れてた肌も、目の中のきらきらも。でも、いちばん遠かったよ。



何度も言うけどわたしは推しにりあこだ。本気で好き。口の片側だけ上がるバレバレの作り笑いがかわいい。いっつもその表情するね。接触のイベントでする、自分の魅力やオタクが喜ぶ行動や表情を全て理解してる計算しつくされた対応も顔のつくり方も大嫌いだけど大好き。他にもたくさん、ぜんぶ、ぜんぶ。それこそ、息を吸ったら吐くから好きなのだ。


公演が終わって、Twitterで推しの名前で検索する。今回の舞台の感想、推しの様子。推しのことを語るツイートを見るたび、この人はこんなに推しのことを分かってるんだって悔しくなったり悲しくなったりする。それと同時に、語っているのが共演者でも歴の長いオタクでも、そのどれもがしっくりこない。

結局、わたしは何も分かっていないし分からないのだなと感じた。本気で好きなはずの人の何も。ぜんぶが好き、といったが、その「ぜんぶ」はきっと本当の推しの1ミクロンにも満たない。推しが見せてくれる推しを信じるしかなくて。昔から変わらないインタビューの受け答え。君のそういう完璧で変わらないところが、時々、見ていてしんどくなるんだよ。

この距離にいるからこそ、本気で好きという気持ちを持てているのかな。

わたしはただの推しのオタクで、大勢の1人にしか過ぎなくて、現実を見た方がいいのも、おかしいのも分かってる。なんでみんなと同じような恋愛ができないんだって思う。でも、わたしにとってはちゃんと恋なの。


最前はとっても楽しかったけど、なんかいろいろ考えちゃったな。でもゼロズレで歌ってくれた推しの目のなかのきらきらは多分一生忘れられない。この先でオタクを降りて、誰か他の人を好きになっても、多分一生思い出す。


君がいいって言えるような距離じゃないけど、今、せかいでいちばんすきです。それだけ。

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