引き出しのメッセージ

久しく座っていなかった勉強机の椅子に腰を下ろした。

大学生になってめっきり勉強時間が減った。

文系の大学生なんてそんなものだとは思うけれど、きっと今勉強をしなかった事をいつか後悔するんだろうなとも思いつつ、ただ今日も私は勉強をしなかった。

特に何をするでもなく、勉強机の引き出しを開けては何か無いかとあさってみる。

鍵の付いている引き出し。

もう鍵は掛かっていない。

一時期絵を描くことにハマっていてその当時描いた絵たちがそこには眠っていた。

「懐かしいなぁ…。」

当時描いた絵たちを取り出して一枚一枚を見ては過去を振り返る。

どのくらい時間が過ぎただろうか。

過去の自分の作品に浸るのはズルいと思う。

うまくいったものだけをひたすらに引きずって、そこにしがみ付く事に意味など無い。

勝手に一人で懐かしくなって、落ち込んで、描いた絵たちを引き出しにしまおうとした時、引き出しの底に文字が書いてあるのを見つけた。

「めげるな」

昔、落書きした事を思い出した。

過去の自分が何を思っていたのか、何を思って書いたのか…。

過去の自分が今の自分を見たらどう思うのだろうか。

昔の自分は、未来の自分に期待をしていた。

今の自分はその期待に応えられているのか?

…。

過去も未来も、今も、何かに縛られていて、誰かの目だけではなくて、自分からの目までもを気にし始めて。

一体私は何と戦っているんだろうか。

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