七十二候 金盞香 (きんせんかさく)
七十二候 金盞香
(きんせんかさく)
11/18~5日間
キンセンカというとカンデュラ
つまりホットマリーゴールドですが
この暦が実際に指しているのは
水仙(スイセン)です
“金盞(キンセン)”は
花の中央にある黄色い部分
これを黄金の杯に見立て
白く広がる花弁の方は
白銀の盆台に見立て
“銀台(ぎんだい)”
つまり
銀色の盆に乗った黄金の杯
“金盞銀台”という別名を持つのが
「水仙」です
この花が雪中花でもあることから
あるいは雪の中に咲くことを指している
とも解釈できそう
水仙はヒガンバナの一種らしく
約30種ほどの原種をもちますが
園芸種となるとなんと数万種
なんとなく名前でインドや中国の
イメージがありますが
花自体は世界中で栽培されています
実は原産地は地中海沿岸
そこからシルクロードを経由し
中国や日本に渡ってきたようなので
極東からすると外来種なんですね
地中海は比較的温暖なので
長い間、日本でも温暖な地域で
栽培されてきたようですが
寒さに強いという事が分かってきたのは
比較的近代なんだそうな
例えば球根は低温で活性化する
遺伝子が存在しており、これらは寒冷地に
適応するために進化したのではないか
と考えられます
実際、水仙は夏に枯れ
球根状態で休眠に入りますが
低温を経験することで活性化します
なので
温暖な地域で栽培される際は
人為的に低温にあわせ
開花を促す「低温処理」という方法を
とることで休眠打破を促すそうですよ
ちなみに水仙の球根の場合は
5℃程度の低温で
6~8週間くらいの期間が必要だとか
この発見で水仙は
全国で栽培できるようになったわけです
そんな水仙
食べると死にかけます
花も葉も球根も駄目です
アルカリ毒を含有しており
これがいわゆる神経毒で
頭痛、嘔吐、下痢やけいれん
ひどい場合は昏睡を引き起こします
小さい子やペットは要注意
水仙というと
太宰治が同名の作品を書いてますよね
とある婦人がおだてられるまま画を描いて
才能を示し始めるが
やがて破滅してしまうという物語
太宰は自分のファンであった彼女の
画を最後に破り捨ててしまうのですが...
花言葉を踏まえると
なんとなく理由が見えるんじゃないかと
思ったり
是非ご一読ください