天国とグレーテル(自由律短歌10首)

手を繋ぐ私たちはたくさんいるので祈りに満たない天国

蒸発したらしい血(もしかしたら魂) 蝶が餓死しているので

かんたんに切り分けられたいから交換しよう君へはスプーンを

羽毛布団はさみで抉り、私の背中にあったとする安寧

レモンに砂糖まぶすように月明かりはWaltz 窓をそっと閉めて

鎖骨を噛む、唇は嘘を押し広げて君の脱皮を促す

捨てられようよふたりきりで小さくくっついて帰り道を失くす

ライブダイブライフは鬱血して天国ではあなたが死んでいる

テディベアが北西を守っているので明日の悪夢は蜂蜜

「ここって地球で一番月から遠いんだって」「本当?」「嘘だよ」

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