うずまく未満(自由律短歌10首)
君と食べたクッキーはバターが少なくてすこしは甘い ぱさもさ
硝子の向こうは甘い紫 あの子の涙より澄んだ酩酊
健やかな落ち葉のようには砕けない身体使いこなせないまま
古い水彩画のように静かだ ティーカップを覗き込むだけの目
理性をAマイナーで歌うきみにガラス製の飴を押し付ける
誰にでも河は流れていて彼岸花のいろいろ 秋も流れる
指からすべてほどけないまま眠るかつて水母だったわたしたち
蜻蛉の翅に血が通っていると仮定して欠伸、未だ夕方
短い三つ編みをほどきながら呪う「あなたは塔に住む王女」
ひらりスカートの裾涼やかに翻る輪廻を信じないまま
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