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うつ病を私傷病としたことを理由とする退職の効力は否定され、パワハラの使用者責任が認められた例(平成24年4月13日大阪地裁)

概要

被告医療法人に雇用されていた原告が、休職期間満了による自然退職の効力を争い、労働契約上の権利を有することの地位確認と、原告が職場の上司及び同僚からハラスメントを受けたことによりうつ病に罹患し休業を余儀なくされた等として損害賠償を求めた。

結論

一部認容、一部棄却

判旨

医療法人の理事及び職員で組織する組合を脱退し他組合に加入した元職員に,理事及び職員らが他組合を脱退するよう説得した一連の説得活動は,元職員に対し強い心理的負荷を生じさせたものということができ,したがって,元職員のうつ病は,理事及び職員らによる一連の説得活動により発症したものと認められるから,業務に内在する危険が現実化したものであり,元職員の業務とうつ病の発症との間には相当因果関係があるということができ,当該うつ病は「業務上」の疾病と認められ,元職員のうつ病が私傷病であることを前提とした自然退職は認められないというべきであり,元職員の雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認の請求は理由がある。
医療法人の理事及び職員らにより行われた元職員に対する一連の説得活動は,不法行為を構成するというべきであり,同行為は医療法人の事業の執行について行われた行為であるから,医療法人は使用者として民法715条1項本文に基づき,元職員のうつ病発症について不法行為責任を負うが,医療法人の健康配慮義務違反等の元職員の主張は認められない。

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