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我が子に命懸けの介護、そして移植と傷病手当金

まだまだ小さい子を抱えた労働者がいた。
日々、保育園の送り迎えの時間に追われ、解決のため所定外労働の制限を利用し、ときどき育児短時間勤務も併用して、さらに会社側はできるだけの便宜を図っている状況だった。

そんな状況下でも労働者の願いをよそに、我が子の病状が一向に良くなることはなかった。ついに当該労働者はそんな我が子の回復を願って自ら移植手術を受けることとなった。

まず、労働者は介護休業を申し出た。介護休業は1回93日間。
2週間以上常時介護状態にある我が子、介護休業給付金の資格要件も問題ない。
次は、限度額適用認定証の交付申請、希望により送付先は労働者の自宅を指定した。

労働者が移植手術を受けるためには、手術前に一定期間入院、いろいろ検査をしなければならないらしい。

ここで気になったのは、労働者が介護休業中に我が子のために移植手術後の予後の安定、安静のために、労務不能で子の介護(便宜供与)ができない期間は、介護休業を継続するのだろうか?(育児・介護休業法上の介護休業として認めてくれるのだろうか?)

ここがわからなかった。
管轄ハローワークに問い合わせところ、回答を留保。
その後、労働局に上がり、さらに厚労省へ疑義照会中、とハローワークから途中経過報告があった。回答が来たのは、問い合わせから2か月弱。

当初2つ考えた。
みずからの移植手術後の予後の安定、安静のために、子の介護(便宜供与)ができない期間は、、、、
(1)介護休業と認めない
この場合はその期間、健康保険の傷病手当金を利用する。
(2)介護休業と認める
1回目の介護休業のまま(介護休業給付金)とするか(そもそも移植のことをハロワに言わなければわからない)または、あえて介護休業とせず傷病手当金を請求して(審査あり)、再び、子への介護ができる状態になってから2回目の介護休業を申し出る、
と思っていた。

ところが厚労省からの回答は違っていた。
「移植期間中、その後の労務不能中も含めて、介護休業と認める。
その介護休業期間中に、健康保険の傷病手当金を受給しても併給調整がないので両方受給できる。」
これについて、健保協会の管轄支部に問い合わせたところ同様の回答だった。

そして、のちにこんな通達を見つけた。

介護休業期間中の健康保険、船員保険及び厚生年金保険の被保険者資格等の取扱いについて(平成一一年三月三一日)
(保険発第四六号・庁保険発第九号)
(各都道府県民生主管部(局)保険主管課(部)長あて厚生省保険局保険・社会保険庁運営部企画・年金管理・保険管理・保険指導・年金指導課長連名通知)
標記については、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七六号)が平成一一年四月一日から施行されることに伴い、同法に基づき介護休業をする者について次により取り扱うこととしたので通知する。
なお、貴管下の健康保険組合(貴都道府県管下に所在する厚生大臣が管轄する健康保険組合を含む。)に対する周知、指導につき特段の御配意を願いたい。
第一 介護休業期間中の被保険者の取扱い
1 被保険者資格の取扱い
(1) 同法第二条第二項に規定する介護休業をする場合には、当該介護休業期間中においても、当該被保険者の被保険者資格は存続すること。
(2) 被保険者が同法第二〇条の規定に基づく休業措置により休業する場合には、
① 当該休業期間の長さが社会通念上妥当なものであること
② 当該休業期間終了後は必ず復帰することを前提として認められていること
③ 当該休業期間中は他で就労しないことを前提としていること
等により事業主と被保険者との間の使用関係が継続するものと認められるときには、当該被保険者の被保険者資格は存続すること。
なお、適用事業所の総合調査等を行う場合は、事業主と被保険者の実質的使用関係の存続を確認すること。
2 標準報酬の取扱い
介護休業期間中の標準報酬月額は、休業直前の標準報酬月額の算定の基礎となった報酬に基づき、算定した額とすること。
3 保険料の負担
保険料の被保険者負担分については、被保険者本人が負担すること。ただし、被保険者負担分相当額を事業主が介護休業手当等として支給することについては差し支えないこと。
4 傷病手当金及び出産手当金
傷病手当金及び出産手当金の支給要件に該当すると認められる者については、その者が介護休業期間中であっても傷病手当金又は出産手当金が支給されるものであること。
なお、健康保険法(大正一一年法律第七〇号)の規定による傷病手当金又は出産手当金が支給される場合であって、同一期間内に事業主から介護休業手当等で報酬と認められるものが支給されているときは、傷病手当金又は出産手当金の支給額について調整を図ること。

第二 その他
1 健康保険、船員保険及び厚生年金保険の育児休業期間中の保険料免除等の取扱いについて(平成七年三月二九日保険発第五二号・庁保険発第一六号)第二の2中「育児休業等に関する法律第一一条」を「育児休業・介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第二〇条」に改め、平成一一年四月一日より適用する。

その後、この親子がどうなったのか報告を受けていない。

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