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地方公務員災害補償基金事件(平成31年2月20日大阪地裁)

概要

大阪市環境事業局の職員であった原告が、同僚職員から嫌がらせを受けたことにより精神疾患を発病したとして、地方公務員災害補償基金大阪市支部長に対し、地方公務員災害補償法に基づく公務災害認定請求をしたところ、処分行政庁(同支部長)が、公務外の災害と認定する旨の処分をしたため、原告が被告に対し、本件処分の取消しを求めた。

結論

棄却

判旨

1.元職員が主張する本件嫌がらせ行為自体を認定することはできず,本件事務所における嫌がらせやトラブル等の具体的内容を認めるに足りる的確な証拠も認められないから,元職員について,本件うつ病を発病する程度に強度の心理的負荷を伴う業務上の出来事があったとはいえず,また,元職員の供述を前提にしたとしても,本件嫌がらせ行為が本件うつ病発病の原因であるとすることと整合しない事情が認められることからすると,本件うつ病が公務に起因するとは認められないところ,地方公務員災害補償法に基づく補償は,一定の事由が生じた場合に請求権を有する者の請求に基づいて行われるものであることに照らすと,各補償を受けようとする者が,請求に係る各補償を受ける資格が自己にあることを証明する責任があるというべきであるから,公務起因性の立証責任は請求者である元職員にあると解すべきであり,そして,支部長は,本件認定請求に係る元職員の申告内容を踏まえ,元職員の主治医や元同僚からの聴取等の調査を実施した上で,本件うつ病が公務に起因するものであるとはいえない旨結論付けているのであるから,本件処分について,元職員が指摘するような調査に係る違法性があるとは認められない。

2.元職員は,本件うつ病の発病について公務起因性があることを前提として,本件アルコール疾患と本件うつ病との間に相当因果関係があるといえるから,本件アルコール疾患も公務に起因する旨主張するが,本件うつ病の発病が公務に起因するものであるとは認められないのであるから,元職員の上記主張は前提を欠き,本件アルコール疾患が公務に起因するとは認められない。

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