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国・半田労基署長事件②(平成29年3月16日名古屋高裁)逆転勝訴

概要

従業員が、勤務先である病院において、パワハラや退職の勧奨ないし強要を受けて精神障害を発病したとして、労働者災害補償保険法による休業補償給付を請求したところ、処分行政庁から業務起因性が認められないとして同給付を支給しない旨の処分を受けたため、被控訴人(国)に対し、その取消しを求め、原判決が請求を棄却したため、これを不服とする従業員が控訴した事案。

結論

取消

判旨

労働者は,技師長との確執により度々口論となり,退職を示唆する発言や怒鳴られることもあったため,
平成22年11月5日,医事課長に対して労働者メモを提出し,職場環境の改善を促したが,これにより職場環境を改善する措置が採られることはなく,かえって,日頃から技師長との確執によりストレスを感じていたところに,本件4者面談において,約3時間もの間,一方的な理由を告げられ退職を迫られ,これらを全体として評価すると,労働者と同種の平均的労働者からみても,相当大きな精神的負担を受ける出来事であったと認められ,本件4者面談から数日のうちに労働者が本件疾病を発症したという時間的経過とも合致するから,業務による労働者の心理的負荷は,社会通念上,客観的にみて精神障害を発症させる程度に過重なものであったと評価することが相当であることから,労働者は業務により過重な心理的負荷を受け,かつ,他に業務外の心理的負荷や労働者の個体側の脆弱性も認められないことからすれば,本件疾病は,労働者の従事する業務に内在する危険が現実化したものと評価できるから,業務との相当因果関係があると認められ,業務上の疾病に該当する。


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