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頑張り屋さんすぎて、見ててハラハラしたこと

もう5年以上も前の話。
出産予定日、残り1か月を切った従業員がいた。
その従業員はとても頑張り屋さんで、仕事に対して姿勢はまっすぐ、いつも直球だ。1人目の子をこれから産もうというのに、もうシングルだ。(理由は不明)

そんな従業員は、まわりのハラハラな気持ちを意に介さず、多少なりとも大きくなったお腹を抱えて業務に精励している。
でも周りはたまったもんじゃないらしい。
なにも、「さっさと産休に入れ!」と意地悪しようとしているわけではない。

どう見ても、その頑張りは無理があって、少しずつミスが目立つようになり、母体保護から動きに制限がかかるし、当然無理をすると負担になる。

何度か、人事部から「業務のことは気にせず、産休に入っていいんですよ」「何か業務上の配慮が必要であれば遠慮なくいってください」と声をかけたが、すべてそれを受け入れなかった。出産の直前まで働いて、給与は満額手にしたいというのが理由のようだ。

たしかに、産前休業中の出産手当金は、平均標準報酬月額の30分の1相当の67%。

それに対して、どう対応したらいいのかわからない、教えて欲しいとの問い合わせ。
このまま本人の希望通り働かせて、もしも子の健康に影響が出たり、あるいは流産死産なんてことになったら会社は責任を持てない、という心配。

男女雇用機会均等法
(婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁止等)
第九条 事業主は、女性労働者が婚姻し、妊娠し、又は出産したことを退職理由として予定する定めをしてはならない。
2 事業主は、女性労働者が婚姻したことを理由として、解雇してはならない。
3 事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第六十五条第一項の規定による休業を請求し、又は同項若しくは同条第二項の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
4 妊娠中の女性労働者及び出産後一年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効とする。ただし、事業主が当該解雇が前項に規定する事由を理由とする解雇でないことを証明したときは、この限りでない。

会社側の気遣いは十分で自然だが、伝家の宝刀、均等法9条に不利益取扱の定めがある。その気遣いが行きすぎて、強制的に、或いはそこまで行かなくても、本人が拒否の姿勢を貫く中、繰り返し産休を求めることは、まさに9条に触れる。
この点は厳に言動に気をつけなければならない。

念のため、会社側には、今までの対応の記録と相手の言動を議事録にまとめるよう指示し、最後にもう1度産休を軽く促すとともに、業務軽減などの配慮はいつでも可能な旨お知らせし、拒否されたらそれ以上は何も対応しないよう伝えた。
上長にはこれまでの状況を伝え理解を求めるも、上司という立場で引き続き注視するようお願いした。

この件、労働局に相談してみた。

9条との兼ね合いから、それ以上の対応は不要です。
もしも母体に何らかの影響が出たからといって、やはり産前休業は本人の申し出にかかっているため、何らかの配慮を求めていない限り、現状の勤務でかまわない。

回答は極めて明快だった。

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