イオンの匂い
梨木香歩さんの『西の魔女が死んだ』
好きな1冊です。
主人公の女の子が
おばあちゃんちで暮らすとき、
1日の過ごしかたを自分で決めていた記憶があります。
この時間は勉強をして、
この時間はお手伝い、といったふうに。
外から見たら、
学校に行かないことは
みんなが経験しないことだし、
充実してていいなぁ、と思うかもしれないけど、
まいちゃんは必死だったと思う。
一瞬ずつに懸命にしがみついて、
傷が癒えるのを待つのは、
途方にくれることです。
わたしが中学生だったとき、
ラジオ英会話と読書、料理にテレビが生活のほぼすべてといってよく、
キルティングを縫う手を休めては、
いつも外の世界にあこがれていました。
外につながる窓がほしくて、
自分が無力なこと、
中学生という身分もなくしてしまったことを、
受け入れていかなくてはならないのだなぁ、
そうやって眠りにつきながら、
よく考えました。
いまでも、仕事が休みの日には、
自分がなにをしたいのか、
ぼうっと考えます。
いくつになっても、
自分と正直に向き合う時間は必要だと思います。
夏のさなかに思い出すのは、
イオンの匂い
(スーパーのイオンじゃなくて)
ちょっといいドライヤーや
空気清浄機から
マイナスイオンが出ていると、
一種の匂いがして、
胸がしんとする。
13歳からはじまった、
自分との闘いの夏休みを思い出すからです。
先生や親に、
進むべき道を決めてもらうのもいいけれど、
あとになって、
他人のせいにしてしまうかもしれない弱さが隣りあうこと、
忘れないでほしい。
夢への方角を教えてもらえたら、
心から感謝して、
なるべくふり返らずに
自分の足で歩いたほうがいい。
ひとりで決めるのはすごく怖い。
すぐにお腹が痛くなる。
わたしはいまでも怖いから、
あたりまえの感情だと思うし、
だからこそ、偉そうなことは言えないです。
ただ、がんばっている人の瞳のなかには星があって、
それは北極星だから、
これからどんなことがあっても、
かなしみに押し流されそうになっても、
たどり着きたい一点があるというのは、
それだけで誇りに思っていいことだと思います。
当時、ラジオから聞こえるサカナクションの“ミュージック”が
わたしのなかに風穴をあけました。
曲中の「鳥」に自分を託せたしゅんかん、うれしかった。
いちばんつらかったことは、
自分にとって、暗い歴史にはなりません。
隠さないで、大事に守って、
自分を認めてあげられたらいいなと思います。
時間はかかるけれど、
大丈夫、
変わりたいと思ったときが変わりどきだということ、
わたしもだんだん分かってきました。
それでは
Love always,
みさと
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