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フローラステークス回顧 2020.4.26

初夏の陽気の東京開幕週はタフな競馬に

青空と強風、集いし馬と、集えぬ人

今年こそ。
春の陽気のうちにフォロワーさん誘って子どもと一緒に競馬場で遊ぶぞ、と意気込んだのが、正月ごろ。
その頃から、じわじわと魔の手が忍びより、ついには緊急事態宣言。3密だの、8割会うなだの言われてしまえば、競馬場で小さい子どもも含めて複数の人と交流する企画ができるわけもなく。
この時期の府中は気候がとてもいいのになあ、と一人ため息をつく。全世界的な危機となれば仕方なし。また機会を改めるしかない。今は開催があるだけでありがたいものだ。

4月26日の日曜日、フローラステークス。
場所は府中の東京競馬場。

オークスを目指すうら若き乙女たちのトライアル。
競馬場が閉鎖していなかったら、その日は東京競馬場のフリーパスデイだ。通常200円の入場料が無料になるというイベントだ。

どんな馬がこのレースに向かうのか。

本来なら、ツアー同行者用に「しおり」なるものをつくろうかと画策していた。きっと初心者の方も多いだろうから、せめてメインレースに出走馬の解説くらいは入れておきたい。

スカイグルーヴ
名牝エアグルーヴのひ孫、この母系は名馬を生み出すことが多い。この馬の将来性はどうか。前走の京成杯ではデビュー2戦目で一番人気におされ、牡馬のクリスタルブラック2着に負けてしまった。しかし、今回は同じ牝馬相手。ここは実績と潜在能力が評価された一番人気。鞍上は3年連続リーディングのルメール騎手、安定感は抜群。

レッドルレーヴ
スカイグルーヴがエアグルーヴのひ孫なら、こちらはエアグルーヴの孫。あっちが京成杯2着なら、こちらは桜花賞トライアルのフラワーカップ2着。やはり名牝の血がなせるのか、世間の支持も高い。鞍上はデムーロ騎手。

ホウオウピースフル
2戦2勝で挑んだ桜花賞トライアル・クイーンカップで僅差の6着。父の荒くれ三冠馬オルフェーヴルの血はタフで距離が長くなってこそ。兄は有馬記念優勝馬のブラストワンピース。短期免許でやってきたの鞍上のレーン騎手は今年も絶好調。

ウインマリリン
中山で勝ち上がり、タフな競馬ならもってこい。上記3頭に比べて派手さに欠けるが、その実力はいい意味で未知数。鞍上の横山武史騎手はまだ21歳ながら、今期好調で関東ベスト5だ。ただ、中山以外で走ったことがないので、東京競馬場の左回りコースをどう攻略するかが課題だ。

フアナ
まだ3戦目で1勝馬とキャリアは浅い。だが、この母系には3戦目でダービーを制したフサイチコンコルドの母バレークイーンがいる血統。実は一族の中でも3戦目は活躍のキーワード。潜在能力の高さを示せるか。鞍上は南アフリカの若手実力派騎手ヒューイットソン。まさか、が期待できるバックボーンだ。

各馬の解説はもっとわかりやすく魅力的に短くしたいものだ…。

レース回顧 (架空実況)

今回は架空実況でお伝えしてみます。
東京競馬場、芝2000m、スタートは2コーナーのポケットから。
ゴール前に強風が吹き荒れています。この風にどう立ち向かうかが、このレースのカギとなりそうです。
スタートは何頭かダッシュがつきません。内からエレヴァテッツァ、ルトロヴァイユ、ヒューマンコメディ、大外のレッドサーシャあたりかが後方から。
一番人気のスカイグルーヴは綺麗にスタートを決め、好位にポジションをとります。

1コーナー、先頭に立とうとするのはジャンドフルール、リヴァージュの2頭が並んでハナを競います。
そこにヴィスパリンホープが割って入ろうとして、さらにウインマリリンが続きます。
1馬身離れて、人気の一角ホウオウピースフルがここにいます。ピッタリと横につくのはやはり人気のレッドルレーヴ。ここまでが先行集団か。

2馬身ほど距離を置いて、一番人気スカイグルーヴがいます。すぐ後ろにセイウンヴィーナス。さらにショウナンハレルヤ、並んでフアナ。ヒューイットソン騎手、ここからどんな競馬をみせるのか。

もう1、2馬身離れてルトロヴァイユ、ヴァリアーモ、シャレードと3頭並んでいます。
レッドサーシャ、テイエムフローラが続き、
さらにそこから3馬身離れて、ヒューマンコメディ、しんがりにエレヴァテッツァ。

先頭からしんがりまで15馬身ほど、少し縦長の隊列となっております。
先頭は黒い帽子のシャンドフルール。快調に飛ばして3馬身以上後続に差をつけている。
さあ、動いていきます、3コーナー。
淡々と後続が動きだし、馬群がひとかたまりになってくる。
シャンドフルールのリードはほとんどなくなってきた。後続はぐいぐいと攻めてくる。
4コーナーをまわる。
強風吹き荒れる直線、砂ぼこりを受けながらシャンドフルールは先頭を譲らない。
内からするすると並びかけるのはウインマリリン。

残り400m。まだ横並び。
外からはじわじわとスカイグルーヴがやってくる。

砂ぼこりから抜けてくるのは、3頭だ。

内からウインマリリン、馬場の真ん中からレッドルレーヴ、スカイグルーヴ!
役者は揃ったとばかりに末脚比べ。
残り200mを切って、先頭はウインマリリン。
そして、レッドルレーヴとスカイグルーヴの間を割って、ホウオウピースフルが突っ込んでくる!
外からはフアナの脚色もいい。
ここでスカイグルーヴとレッドルレーヴは揃って手応えを失っていく。
ホウオウピースフルとフアナが勢いよく先頭のウインマリリン目指して突っ込んでいきます。差は縮まっていくがウインマリリンも根性をみせる。
そのまま3頭並んで、ゴールイン!
内のウインマリリンが凌いだか。
ウインマリリンが1着。
ホウオウピースフルとフアナがわずかな差で2着を分け合います。
勝ったのは、ウインマリリン!
鞍上、横山武史騎手、重賞初勝利!

レース終わって

直線、強風でダートコースの砂が舞い散り、道悪馬場ではないのに、タフなレースとなった。
一番人気スカイグルーヴには“向かない”レースだったのだろう。だが、競馬は結果がすべて。
オークスに向けて好発進したのは、勝ったウインマリリン、2着のホウオウピースフル。
この2頭はオークスへ征くだろう。
スカイグルーヴは、レッドルレーヴはどうするのだろう。無理矢理にでもオークスへ向かうか、はたまた別の道か。
目指すべきレースに向けて、注目すべき馬が変わる瞬間に立ち会う、というのも、また競馬の面白いというところだ。

実績や血統、騎手が評価された一番人気の馬が負け、4番人気とはいえ若手騎手が初重賞勝利をあげる瞬間。いかにも人間ドラマ的だ。

もしもツアーがあったならば、この勝利をどう受けとめただろうかと、やはり考えてしまうところだ。
いや、子どもたちの存在が強すぎて、競馬どころではないかもしれない…というのが現実的か……。

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