頭が落下した大仏様

現代に威容を誇る奈良東大寺の大仏(盧舎那仏)ですが、大きくなればそれなりに困った事態も起きたようです。
そうデカい頭はそれなりに重いのでしょう。
時には、頭が落下すると言う憂き目に逢ったようです。朝大仏殿に行くと頭が転がっていた、想像するだけでも怖い?いや何やら不思議な気持ちになりそうです。しかし当時の役人や技術者たちは迅速に対応したようです。
斉衡二年五月二十三日(今の西暦で855年7月10日)五月十日,十一日に地震の記録があることもあり(六月二十一日,二十五日にも地震の記録がある。ついでに六月一日には日食の記録がある),地震によって落ちたとされることがありますが,『文徳実録』には「毘盧舍那大佛頭自落在地」とあるようです。まさに『地に堕ちた大仏さま仏頭』だったようです。天変地異もあったようですが地震により堕ちたとは書かれていません。
でも技術者は早速この事態を解決すべく鋳物師が活躍したことが記録に残されており、迅速な対応の故、朝廷からのご褒美ももらったようですから、当時の技術力も腕も優れていました。10m以上ある高さに、あの大仏様の頭を再度取り付けるという、是非見てみたい光景ですね。
人間頭を使って(自分の頭です)やろうとするといろいろ工夫して出来てしまう…現代人も見習うべき知恵の使い方でした。
もちろん、頭の落下は一度ならず堕ちました。ですから今日大仏を見学される場合は、しっかりと気を付けて周囲を歩かれるようにしましょう。すこし当たると痛い気もします。
それから大仏様の頭は、溶けてしまったこともあります。火災で大仏殿が燃えると高温のために頭が溶けたのです。これは1567年戦国の世の事です。
これは『三好・松永の乱』によるものです。
ブロンズの融点は1000度前後ですから、タバコの火でも800度前後ですから木造の建物火災では1200度程度に達しますから、もちろん軽々溶けて流れてしまいそうです。
この頭の無い状態がしばらく続いたようですが、見るに見かねた某領主が銅板で一時凌ぎの『板張り仏頭』を作っていたようです。もちろん大仏殿も燃えましたから(鎌倉大仏のように)しばしは青い空を眺める大仏様だったとのことです。

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