フォローしませんか?
シェア
Mist
2018年1月22日 19:44
東京に雪がつもったその夜に、私はいつもより早く仕事を切り上げて、雪化粧に色気づいた路面をぺたぺたと歩いて帰った。コンビニから漏れる灯りや車のヘッドライトを受けて、青春群像みたいな光のつぶが私の傘、頰、コートの裾をころがる。すれ違う貴婦人は眉を顰めて足元に視線を落としながら、一歩一歩を大事そうに踏みしめている。 駅に着くと構内は水びたしで、梅雨どきの渡り廊下みたいに居心地が悪かった。どうせ濡れる