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秋の彼方
線香の
薫る玄関
さみしくて
誰も居ぬのに
杖がひとつ
アキアカネと
姿を変えて
迎えきて
偲ぶ面影
ここに止まりて
失いし
時の流れに
置いてきた
戻らぬ日々を
杖に支えられ
煙色の
染みる玄関
秋の空
誰も支えぬ
杖ひとつ居り
![](https://assets.st-note.com/img/1666531746902-ZMqaFKYdbo.jpg?width=800)
秋とは、
むこうに広がる季節。
空のむこう。
時のむこう。
心のむこう。。
秋の彼方には
線香の薫る玄関を
思い出す。
くすんだ上リ口の脇に
杖ひとつ
かつて祖母を支えた杖は
今でも
ここに居る
杖ひとつ、ここに居る
秋の彼方を見ている赤とんぼ
夕日を見つめて
秋の彼方へと帰り支度している
僕を見にきたのかと
少し和む
そして優しい気持ちを思い出す
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