重なる不安要素②
「よし。身体はほぐれたな!今日も試合形式でフォーメーションと連携の練習するぞ。ここに俺がメンバーを書いた紙がある!書いてある人間はその色のビブスを着てコートに入れ!書いていない人間はコート外からフォーメーションの研究だ。メンバーはどんどん変えていくから油断はするな!」
ランニングを終えた部員達は二階堂の指示により、赤と青チームに別れてフォーメーションの練習する事になった。
萌音や他のマネージャーはゼッケンの付いたビブスを紙に書いてある部員に渡していった。
翔も赤チームのスタメンで書かれていた。
ビブスを受け取るとそのままコートへと入った。
位置に着くと近くには黒木がいた。
「武藤、向こうには二階堂がいる。あいつに抜かれない様にな。」
「はい。きっとこの配置からすると向こうは攻撃的でこっちは鉄壁って感じでしょうか?」
「そうだな。お互いに攻撃か防御で尖っているチーム編成だが、武藤って本当にDFしか出来ないのか?もっと上がって点に繋げる事は難しいか?」
「やった事がないので何とも言えません...。」
「そうか...どうもこの前のメンバーを見ていると二階堂を抑えられても攻めれるとは思えない。武藤ならここで何か突破口を開けそうな気がしたんだけどな。とりあえずここは守るぞ!」
翔は大きな声で返事をすると試合形式の練習が始まった。
相手チームの二階堂がボールを持つと一目散に攻めて来た。
「まるでワンマンプレーだな。猪武者か?」
黒木が呟くと一人で攻める二階堂は翔の前に立ちはだかった!
「行くぞ!」
二階堂の気迫に押されそうになるが翔はしっかりとボールと二階堂の動きを見極める。
抜こうとする二階堂の蹴ったボールをスッと足を出してボールに当てた。
「ナイス!武藤!」
転がったボールを黒木が前衛に送る。
翔も少しでも前に行こうとした時だった。
「...っ!?」
ふとした目眩が翔を襲う。
近くにいた二階堂が翔の異変に気付いて、
「大丈夫か?」
と声を掛けてくれたが返事が出来ずに片膝を付く。
翔のチームがシュートをしたがゴールキーパーが弾いてボールがコートから出た時に二階堂がタイムを取り、翔をベンチへと連れて行った。
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