告白①
午前7:30。
2人の女生徒が翔の前のロッカーに立っていた。
「このラブレターで武藤先輩を呼び出して告白する!」
手紙を持った女生徒が翔のロッカーにそっと手紙を入れると2人は屋上へ歩き出した。
「ふーん、結奈にしてはオーソドックスでいいんじゃない?あと告白の言葉は決まったの?」
「全然決まってない!だけど告白したらきっと上手く行くと思う!」
自信満々に返した女生徒の名札には『持田結奈』と書いてあり、もう1人の生徒の名札には『観月静香』と書かれていた。
「どっからその自信は来るの?私から見たら成功率5%くらいだと思うんだけど。」
「5%もあればソシャゲでSレア当てる確率と一緒だからいけるよね!」
「前向きなのはいいけどフラれて慰めに期待はしないでね。」
「大丈夫。これは単なるきっかけでしかないんだから。ここからが結奈ちゃんショーの始まりだよ!」
静香は大きな溜息を一つした。
「そんな溜息しないでよ。武藤先輩と付き合っても静香はずっと友達だから。」
「そういう意味で溜息したんじゃないって。結奈は手段を選ばないから心配してるの。」
静香は大きな声で結奈に注告すると結奈は屋上への扉を開けて屋上へスキップして出て行った。
「ふふふ...恋に手段は選んでいられないって偉い人は言ってたよ。」
振り向いた結奈はウインクをしながら言った。
「それでも私が見た所、武藤先輩は人気だけど特に今、2人だけ気になる人がいるのよ。1人はサッカー部のマネージャーの筒井先輩。もう1人は武藤先輩が朝練ない時に一緒に来てる神崎先輩。どっちも強敵って言うか結奈じゃ相手にもなってない感じがするんだけど...。」
「私にとっては相手になってないんじゃなくて、私が相手にしてないの。静香だってわかるでしょ。武藤先輩を私の世界に入れれば私しか見えなくなる。世界に男女が2人しかいなかったら2人はきっと結ばれる。」
結奈はスカートポケットからコンパクトを開くと手鏡の下には青い水晶が埋まっていた。
「これさえあれば...。」
「結奈...。」
静香はそれ以上この件に関しては何も言わなかった。
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