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目、心の、フィルターの、嫌がらせ

彼女の声は、教室によく通る。笑い声も同じであった。


私はその声を聞く度、そのわざとらしいような、まとわりつくような甘い、人工的な「かわいい女の子」のトーンがいやでも耳に入るのが不快で、鳥肌の立つような嫌悪に苛まれているのである。

あきらかに“いやなもの”、その腹黒の鱗片を見せるにも関わらず、彼女はその上からお手製の純白のヴェールに隠したつもりでいる。そのヴェールが安直でチープなものであるのに彼女は気づいていてかいないのか、それがいかにもほんとうの自分の姿であるように振る舞う。私が彼女を嫌うのは、その不完全な演技による滑稽さからである。加えて周りまでそれに乗ってしまうのだから嫌になってしまう。彼女の安っぽい賢さも、弱いふりも、強がりも、鼻につく。一挙一動がうるさくて仕方がない。

そうやって“見よう”としている自分にさえも嫌悪を感じるので、最終私は大人しく耐えるしかなく、嫌悪が嫌悪を呼んで地獄の血の池のようにどろどろになってしまったら、もう!

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