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相続土地国庫帰属制度で土地を手放したい話 その5

 トップの画像は岩下の新生姜ミュージアムです。全体がピンクで「岩下の♪新生姜♪」がエンドレスで流れ続けており、洗脳されてきました。

 さて母に私道について説明した翌週の木曜夜、弁護士のA先生の相談予約を取っていました。動画をいろいろ見て、うまく手放せた人の話に励まされたり、一方でこういうことでできなかった、という事例を知って震えたりしているうちに前日になりました。
 今回のカラオケボックスは持ち込みができるというので、姉と何を持って行って食べるか、という話で無理やり元気を出しました。駅前にあるちょっといいスーパーで高級海苔弁を売っているのを知っていたのでそれにしよう、デザートも欲しい、意欲を出すために必要だ、などとどうでもいい話で気分を盛り上げます。
 私が誕生月だったのでいつの間にかアプリに室料割引とデザートがつくクーポンが来ていました。デザートはデニッシュにホイップクリームかなにかを塗りたくったなにかのようです。室料割引だけで十分です。

 全く行ったことがない店なので、延長コードをカバンに突っ込みました。姉のノートパソコンを頼りにしているがなにがあるか分からないのでタブレットやケーブルも突っ込みます。でっかいモニターにつなげるかどうかは、店舗によるようです。その点調べて予約する余裕がなかったので初回チャレンジというところ。
 出勤日だったので仕事を終え定時で飛び出し、待ち合わせの最寄り駅へ。あー、とにかく、雨降らなくてよかった。天候に気分と体調が激しく左右されるのでほんとうにありがたかったです。

 首尾よく集合、高級スーパーをうろつき、海苔弁をゲット。白身魚にはタルタルソースがおすすめですと、50円別売りのソースも勧められ姉が買ってくれました。他に甘いものをもとめてさまよい、麩饅頭やら白玉の代わりに麩を使いましたという黒蜜寒天あんみつ?のようなものやらを買ってカラオケボックスへ。
 最近の諸事情を知らないのですが、受付にあるタブレットで予約のあるお客様、というところから名前を入れると受付ができた様子。店員さんが「10分前になりますので退室準備お願いします」と電話しながら我々の受付をしてくれました。お誕生日クーポンは使えるけれど、と言葉を濁すのでなんだ?と思ったら「今一人しかいないのでデザートの提供が遅くなります」とのこと。いえまったく問題ないですけども。それより案外お部屋から音が激しく漏れるのが気になりますけれども。

 無事受付を済ませ小さなお部屋へ。うーんモニターにケーブルを差し込みたいけれど壁に埋まっています。ちょっと古い店舗だったもんなあ…、次はちょっと駅から離れるけど新しい店に行こう。って次があるのかどうかも怪しい。
 まずWi-Fiでつまづきました。パスワードどこ?忙しいワンオペに申し訳ないのですが電話すると、伝票の下にありますと。このちっこい文字か!老眼二人、必死で読み取って入力します。ああー二次元バーコードにしておいてほしかったー。
 テーブルにある二次元バーコードはドリンクオーダーのものでした。あったかい飲み物を頼むと驚くほど速く来て、ほどなくしてサービスのデザートも来ました。ちょっとだけつついてみて、ワンオペの中クリームのっけてくれたんだよね…と思いながら一口二口でおしまいになりました。ありがとう。次はデザートサービスなしのお誕生日クーポンも配信してください。

 結局私のタブレットではなく姉のパソコンのカメラの画角が広かったのでありがたくそれにのっかって、二人で身を乗り出すスタイルで参加することにしました。
 5分前になりzoomに入室すると先生もほどなく入って来てくださり、数分フライング気味でスタート。わあスミマセン。ってか、え?先生?話してる声はYouTubeでたくさん見ていた画像そのものだけどなんだか若くないですか。白いTシャツだからだろうか。そんなことを考えてしまい初動うまく話せませんでした。

 先生から今回どういう経緯で土地を手放したいと思ったのか、私道については知らなかったことか、などと質問がありました。前から考えてはいたんですけど、売却は手間もかかるし、同じ手間なら国庫帰属なら頑張れるかと思って制度ができたので…私道はまったく初耳で、と言うと時々あるんですよね、調べる人は隣近所全部謄本とって権利がないか調べます、と聞かされ、素人が自分が住みもしない土地を持つのは危ないと思い知りました。
 
 自分たちでやった相続登記ですが、こういう土地があるのに専門家を入れなかったのはやはり無謀だったようです。私道の権利だけ残ってしまうと、自分は手放したつもりでもその土地になにかあると持ち主としての責任が問われます。だいたい我が家で「どうでもいい扱い」だったT市の土地がこんなに難しいものだったとは。「原野商法とまでは言いませんが、まあ、騙されたのかな…という印象はあります」と先生もおっしゃっており、父が一応畑として楽しんだので目的は達したものの、やっぱりなあと思いました。こういうふうに大きい土地を細かく文筆して、通路を作って、というのはけっこうあるとのこと。
 この辺家はありますか?建物は?とか、周囲の様子についても聞かれました。直近で行っていたので答えられましたが、もう分からないって人も多いと思います。思ったよりきれいだったので隣の畑をやってる人が雑草を抜いてくれたんじゃないかと…というと、そういうことはよくありますね、とのこと。「気休めですけど、もっとひどい土地はありますから手放すのを諦めない方がいい」とのこと。そ、そうですか…。
 竹も面倒らしいです。それはF市の土地が竹との戦いだったので存じております。幸い今回のT市は竹はないです。

 国庫帰属の方ですが、問題の私道についてもう一度謄本を画面に出してもらい確認します。私たちの土地を国庫帰属としたいので、私道部分の権利も国庫へ、というのはできないそうです。確かに「通路」は対象外と制度の案内に書いてありました…。もしやるとしたら、私道の権利をもっている、うちを除く23人と一緒になって「全員で同時に」国庫帰属の申請をしなければならないそうです。

 そんなことは…「非現実的ですね」はいそうですね…。私道だけ手放して、土地は持っておく、なんて人はいないですよね。全員が土地を手放したいと思っているならともかく、しっかり畑をやっている方もいるというのに。

 相続土地国庫帰属制度で土地を手放したかった話、にタイトルを変更しなくてはならないです。しょんぼり。

 しかし負動産の窓口でいろんな方法がある、ということは知っていたので先生にだれか買ってくれる人か引き取ってもいいよって言う人探せるでしょうかと聞くと、交渉が必要になってくるので自分たちでやろうと思わない方がいい、とのことでした。これは何度も繰り返していたので、こいつらまた無謀なことをしそうだな、と思われたに違いありません。無謀なことをしようとするのは母なので、母にも言ってもらいたいです。

 母や叔母の相続の時ももう専門家に頼もうと心に誓いました。なにがあるか分からないのが土地。そして手放すのが大変なのが土地。

 ただ、私道の相続登記は引き取り手が見つかったときにやればいいとのことで、やっとかないと人に渡せないというものではないと分かり安心しました。やれやれ。

 費用面を尋ねると、LINEお友達の特典でもらった資料から、真ん中のプランを紹介されました。成功報酬なので、手放して登記完了するまで先生には報酬は入らないというものすごいやり方です。「だからこそ私も必死にやるんですけども」と先生。ある依頼者さんからは「先生が一緒にこの悩みを共有して手放すまで一緒に苦しんでくれるってことですね」って言われたそうですが、そんな感じですねって苦笑い。

 お手紙を出すとか、こっちに見に来るとか…先生、都内ではないですよね、と尋ねると実費は別途かかるそうです。それでも「こういうことをしたいので費用がかかりますが、やっていいですか」と事前に必ず確認してくれるとのことでした。
 他に、相手にお金を払って引き取ってもらう、国庫帰属の負担金みたいなものもありますかね、というのは私道のショックで聞き忘れてしまいました。私が気になっていたのは測量をし直さねばならないかとか、今ちょっとある金属の朽ち果てたのとかを片付けないといけないのか、そういう費用もかかると思っていたほうがいいのか、ということでそれは聞けました。すると「現状のありのままで引き取ってくれる人を探します。ありのままで」とのことでした。ひぃ。すごい。雪の女王も驚いちゃう。
 ちょっと片付ければ高く売れますよ、みたいなことを某不動産仲介に言われたことがあるのですが、その費用がさ。手間がさあ。1㎡1万円っていうんだもの。80㎡よ。そんならそれを先生にお支払いしますよ、という気持ち。

 ごみや投棄物があるときは、それが誰かにいま迷惑をかけているか、で考えるといまやるべきか、このままで引き取り手を探すか、という優先順位を決める目安になるそうです。今すぐ、ではないが誰かが入ってきてあれやこれやで怪我をされても困るね、という状況なのでなるべくこのままで早く手放す!がよさそうです。

 最後5分くらい、なぜ先生が今都内ではなく関東某都市で事務所を構えているのか、都内に来ることはあるのか、など雑談的なことを姉が聞き始めました。いいぞいいぞ。すると先生がコロナ禍前に住んでいたのが私と同じ区内で同じ最寄で大変にご近所であったり、今事務所を構えているところが姉の夫さんにゆかりのある地であったりと、あらら、あはは、ええー、みたいな話になって和みました。都内には月一度は行きますが、全部の現地に行くわけではなく、手紙や電話などで話を進めることが多く、全国の物件を扱っているとのことでした。

 この状況では法務局に相談に行っても無駄ですね、と私が言うと「それより私道を考慮せず土地だけ帰属を承認されちゃう可能性があってその方が怖い」とのお答えでした。心配してくださっているのが分かります。大丈夫、法務局の事前相談はすぐキャンセルします!

 土地の持ち主は母ですので、今日のお話を母に伝えて考えてみます、ということでこの日は終了。こちらに分からない専門用語はほとんど使わないし、「なんで自分たちで相続登記やっちゃったの?素人がやっちゃダメでしょ」と責めるようなこともなく「次は…専門家を入れた方がいいと思いますね…」「専門家に…」と繰り返していたのが印象的でした。予定通り30分でお話を終えて、終了。

 おなかが空いたので高級海苔弁をがっつきます。先生と話してちょっと安心したのか味が分かります。おいしい。海苔がご飯の上下にあって、大きなちくわ天ぷらがあって、白身魚のフライにはやっぱりタルタル!
 お品書きを見るととてもいい卵があるようなのですが見つからないくらいご飯とおかずがぎーっちり!食べながらもう自分たちでは手に負えないことを確認し、先生には真ん中コース勧められたけど、お小遣い出してもいいから一番上の「手放した後10年保証付き」にしたいと語り合います。手放した後10年間のうちにトラブルが起きたらそのときは先生が無報酬で立ち向かってくれるそうです。お値段はだいぶ張りますが、都度都度頼むより絶対お得だし、なにより安心です。

 「あったまご」発見しました。ご飯の中に半熟卵が半分にカットされて埋まっていました。玉子焼きになっているとばかり思っていたら、半熟卵がご飯に埋設されていました。T市の土地もへんなもんが埋設されていないといいけど、それも含めてありのまま引き取って下さる方がいたらありがたいです。たまごを食べながら法務局予約をキャンセル。キャンセルの時も理由を入力しなくてはなりません。あんたたちが私道の権利を引き取ってくれないからだよ!と書きたいところを、国庫帰属が困難な土地であることが分かったから、と書いてキャンセルしました。
 これでどういうところが困難ですか?って聞いてくれれば制度の改善につながりそうですが、あるわけないですね。

 気づくとデザートを食べる時間がちょっと足りない。ワンオペ氏に申し訳ないけど電話して30分延長をお願いします。麩饅頭を食べながら母にどのような点を説明するか整理し、翌日電話で説明することにしました。週末、実家に行けそうになかったので…。

 片付けて、持ち込んだもののゴミはもちかえることにして退出。精算機でdポイントをつけてd払いに挑戦。ここを押して、とワンオペ氏に導かれるまま精算。この時間になると恐らく新人の子と、それを教える店員が来ていて3人体制になっていました。よかったです。

 解散。おなかもいっぱいだし、帰ってお風呂を済ませて昏倒しました。

 翌日の日中、テレワークの昼休みに母に電話しました。こういうことで国庫帰属が難しいと話すと、ああーとため息。でも先生が引き取り手を探して交渉するというお仕事をしているのでこれを頼ってみませんか、いくらいくらのコースがありまして、と説明。紙でほしい人なのでちょっと不満そうですが、先生に頼むことは承知してくれました。
 「事務所がちゃんとあるか●●市にいったら確認してきて」へい。姉に言います。「何歳くらいの人?」「30代だねえ」「若い!いい!途中でやめないで続けてくれるといいけど」まるでバイトみたいな扱いをしないでもらいたいのですが、確かに10年保証とあっても先生に不慮の事態が起きたらだれが引き継いでくれるのか、その点は気になりますので聞いておきたいと思います。
 
 しかしインターネットで見つけて来たというのは母世代には不安でありましょう。私もこんなお金にならないことを、しかも引き取り手が見つかるまで報酬なし、前金なしでやっているとはなんか落とし穴があるのではと若干不安です。

 が、夜に先生と連絡が取れ、母ももう手放すということは決めたので先生にお願いしたいと思います、とお伝えしました。そして母も先生のお顔を見れば安心すると思うので、と言うと、ああそうですね、と言って下さりありがたくもまた無料相談を予約させてもらうことになりました。
 なるべく早く動き出さねばというところで1週間のロスにはなりますが、母をすっ飛ばして話を進めるのもよろしくないのでここはじっくりと。今度は実家からオンラインでやることにしました。
 母には片付けなくていいよ、小さい画面だからうちの中大して映らないし、と言ってみました。「へえー来ないのって楽だね」とのこと。母初めてのzoom。

 前回は私道と国庫帰属できない確定に動揺してしまいましたが、次は想定される費用詳細と、10年保証についてしっかり質問したいと思います。ということで次回から「相続土地国庫帰属制度で土地を手放したかった話」にタイトル変更です。

 ちなみに電話での相談もできるのでそのように希望すればよいそうです。老人がオンラインを拒否したら電話という手があります。安心。

唐沢山神社の花手水
あじさいでした

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