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【恋愛】遠距離①

24歳。
遠距離恋愛を始めて一年が経った。
寂しくて苦しくてしょうがないのに、
どんどん好きになっていく。

ふと、私は根っからの恋愛体質何だと思う。
それでもこの人じゃいけない理由は何か、
考えても見当たらないのでゆっくり振り返ってみようと思う。
もちろん、恋愛は理論じゃないことくらいわかっているけれど。


去年春に、
1年半付き合った彼氏と別れてから思いっきり遊んだ
大学時代は、彼氏と長い付き合いをすることが多かった私。
色んな異性と遊ぶという経験は大学を卒業してから増えていった。
会社の先輩や街でのナンパ。
そんなにタイプじゃなくとも、「今は遊べる時期だ」と自分に言い聞かせて、誘われるがままについていった。

そのときはその時で楽しんでたつもりだった。
でも気づいたら自分を大事にしてくれる彼氏がほしくなる。お遊びは数ヶ月で飽きてしまい、今度はアプリを始めてみたり、街のイケメンを目で追ってみたり。

ちょっとかっこよかったら付き合ってみようかな、と軽い気持ちでとにかく彼氏を探した。
アプリであったひとに、「付き合う?」と自分からアプローチしたこともあったが
体の関係で終わることがほとんどだった。

やっぱり性欲を満たすためにアプリを使う人も多いんだ。
そう感じ始めた頃、アプリで出逢ったのが今の彼だ。

彼とアプリ上でマッチしたとき彼は
「共通点が多そうですね。宜しくお願いします」とメッセージを送ってくれた。
私は相手のプロフィールなんて詳しく読まずに、プロフィール写真の横顔が美しかったという理由だけでマッチを承諾したので、
共通点なんて気づかなかった。

慌ててプロフィールを見ると、
出身や部活動などが同じ。マッチングアプリの世界ではあまり出会えなかった種類の人だと思った。

メッセージを続けると、
出身県が同じ、大学が一緒、学部が一緒(5歳年上なので被ってはいない)、大学時代彼のよく通っていた店は私の元バイト先などなどちょっと話しただけで、
同じ人生を歩んでいたかのようなフレーズで盛り上がった。

私はその人のことが気になって気になってしょうがなかった。

ラインを交換しよう。
彼に言われてためらわず交換した。
その後やり取りを重ねて行くうち、初めて電話した。
忘れもしない冒頭「ごめん」という言葉。
「今はA県に住んでいる」。
隣のB県に住んでいる私はびっくりした。
「全国転勤だから出身県に住んでるわけじゃないんよ、もっと早く言えばよかった」
まあ隣の県だし、
そんなに遠くないし、
距離なんて関係ない
気にすることじゃないか
自分に言い聞かせて
「そういうことなんか!別に気にせんよ」
と落ち着いたふうに話した。

今となればこう言ったことが正解だったかなんて分からない。
ここで引き下がって、全国転勤を理由に付き合えないことを言ってしまえば苦しい思いをしなくてよかったかもしれない、と思う。
「ほんと?びっくりさせてごめんね」
彼の声や言葉選びが温かくて、無性に会ってみたいと思うようになった。

しばらくして遊びたいと誘った。
彼はためらわなかった
「是非!」
無駄のない文字数で、返信はいつも早かった

私の家の前まで車で迎えに来てくれた。
やっぱり横顔きれい
そう思って顔を覗き込んでみた
くっきりして凛々しい目、鼻、眉毛。
ずっと見ていたいくらいきれいな顔だった。

でも私が、付き合うかどうかで決めるのは顔ではなかった
出会ったときのインスピレーション
醸し出す空気
波長が合うか
という感覚的なもの。

彼と会ったときはどきどきした。
でも彼が何を考えてるかわからなかった。
インスピレーションでビビッときても、
相手の波長が読めなかった。

私が初めてのデートに誘ったのは大学周辺の思い出の学園都市。
二人の思い出をたどるように、
学生がよく行く店に行ったり、
大学内を歩いてみたり。
言葉数は少ないしドギマギするし、
私は焦った。
楽しんでもらえているか
何を話しのネタにしようか

だけど昔から一緒にいる友達みたいに、一緒にいると空気は心地よかった。
「次どこ行こうか」
私が牧場を提案して、
私が思いつかなければ彼が海辺まで連れて行ってくれて。
私が頑張らなくてもフォローしてくれる優しさや機転が利く頭の良さ、、
もっと一緒にいたいな
そう思っていると夜になっていた。

「夜景みようか」
彼は深く説明しないまま、夜景に連れて行ってくれた。
初デートで夜景に連れて行く、
という行為を不審に感じつつも、
まっすぐ景色を眺めるその横顔が美しくて、
無性にこの人を疑いたくないと思ってしまった

5個年上の彼は28歳。
彼には私が、どう見えているのか。
カップルだらけの山の頂上で、
彼のことが気になっている素振りを隠して
「結婚願望あるの」
と聞いてしまった
「あるよ、30までにしたいなあ」
あと2年じゃないか
このひと本気か
「そっかーすぐじゃん」
と笑ってごまかした
「逆にどう?」
かれが聞いてきた
「いつかできたらとは思うけど、急いではないかな」
できるだけ平たく答えた
「誠実な人がいいなー」
さらっと言ってしまった

すると彼が「誠実さだったら俺、いいと思うよ」
今思えばこれは告白だったのかも
「えーほんと」
わたしは適当に笑いながら流してしまった
初対面の人の「誠実」という言葉が信用できなかった

それでも彼は引かなかった
帰り際、
「今日楽しかったね」
「またお出かけしようよ」
「九州とか四国とか」
「ちょっと遠く行こうよ」

距離感がよくわからなかった
付き合ってないのに旅行なんて。
やっぱり何を考えているかわからない。
体目的なのか。

それでもまた会いたいと思ってくれてるのが
うれしくて
うれしくて
帰り道はニヤけてたと思う
「また計画立てようね」

その後、
「もう少し一緒にいたい」と言われて家に呼んだ。
いいの?!彼は嬉しそうだった

お酒も飲まずに
テレビを見ながらだらだら話すだけだった
もうそろそろ帰る?
私が、聞くと彼は
「もう少しだけ」といってしばらく話を続けてくれた


彼は最後まで私に手を出さなかった
手も繋がなかった
私の足にある傷跡を心配そうに触っただけだった
一緒にいたいという思いの強さだけを伝えてくれて
気づいたら彼の「何を考えているかわからないところ」の虜になっていて。
何を考えているかわからなくとも、
彼が誠実だということだけが胸の奥まで伝わってきた

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