2. はじめに 【ユクスキュル / 大槻香奈考】
目が真っ黒なのは、それが「鏡」として作用すればよいなと思ってのこと。答えは絵の中にではなく、それを見ている鑑賞者の中にある。いつもそんな絵でありたいという思いがある。――――― 『その赤色は少女の瞳』巻末コメント(56 | ほし 3)より
※web上に同タイトルの作品が見当たらなかったため、引用を見送ります
『その赤色は少女の瞳 表紙』
引用元:https://twitter.com/KanaOhtsuki/status/984748590865170433?s=20
これらの散文は、ユクスキュル/クリサート著『生物から見た世界(岩波文庫)』の感想、および大槻香奈作品(敬称略)への感想と考察です。まだまだまとまりがなく論にもならないものではありますが、今感じたことを書き記したく、ことばを綴り始めた次第です。
私はこの課題図書および大槻さんの画集やアーカイブ本と、対話をしながら読み進めていったつもりでおります。ですから、硬い論文調の文章ではなくあくまで口語体で、対話をしているような気持ちで 文章化をしてみようと思いました。
ですので時折質問口調になるかもしれませんし、勝手な独り言が挟まるかもしれませんが、zoomイベントでお話ししている時のような気持ちで、思考をことばにしていきたいと思います。
参考文献は多数ありますが本来的な論文のような文献番号は振っておらず、文末にまとめて 記載するのみとさせて頂きました。あらかじめご了承ください。
またこれらの散文は、「大槻香奈作品への解釈の答え合わせ」ではありません。あくまでも私個人が作品と対話し、聴こえてきたことばや伝わってきた雰囲気・情などを文章化したものです。哲学者マルクス・ガブリエルが著作で記しているように
さまざまな解釈が可能であるということ、つまり多義性は客観的なものです。芸術家の意図を参照しても、この多義性を縮減することはできません。芸術家の意図それ自体も、つねに両価的だからです。――『なぜ世界は存在しないのか』より
という考えの下、私も私なりの見解を示してみようと思います。それでは始めさせて頂きます。
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