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自閉症スペクトラムかつHSPの私に寄り添ってくれるもの

 自分が自閉症スペクトラム傾向であることはずっと前からわかっていたけれど、さらにそれに加えてHSP気質も持ち合わせていることに気付いてから早数か月。だから生きにくかったんだ、だからみんなと同じようにできないんだ、だからこんなにエネルギー消費してしまうんだ、と、ひとつひとつ、腑に落ちることが増え、なんとなくそんな自分を受け入れようとする毎日です。

 友達もいないし、家族にも迷惑ばかりかけてしまうし、私ってなんでこんな人間なんだろう。長所なんて、得意なことなんて、全然ないなぁ。そんなことばっかり考えては、常にマイナス思考になる私。「自己肯定感が低すぎる」といつも言われますが、肯定する要素がないんだもの。こんな宙ぶらりんな自分が嫌でした。

 
 そんな私に、いつもそっと寄り添ってくれるものがあります。

 
 1つは、今までの記事でもさんざん触れてきた、「発酵食品」。発酵に出会ってから、私は初めての人生の楽しみと出会ったのです。(詳しくは以前の記事を見てくださいね。)

 
 そしてもう1つが、「在来種・固定種」のお野菜たち。在来種や固定種という言葉を聞いたことがあるでしょうか。あるいはそんなお野菜を食べたことがあるでしょうか?
 私もまだまだ勉強不足ですが、在来種・固定種のお野菜とは、長い間、種を採り、育てるといった自然な種の営みを繰り返すうちに形質が固定していったり、その土地の気候や風土に適した形質になったもののことを言います。一昔前までは、できたお野菜の中でいいものを残して種採りし、翌年またその種をまく、ということを農家さんは当たり前に繰り返していました。自然な種の営み。種は命。命の営み。
 固定種や在来種のお野菜は、形や大きさもバラバラになりやすく、今は一般的な流通の1%にも満たないと言われます。でも、その土地に適しているので農薬もいらず、一般野菜とは比べ物にならないほど味が濃く特徴的な味わいがあります。

 
 一方、現在一般的なスーパーで売られている、形も大きさも色もほぼそろったお野菜は「F1種」と言います。良い形質だけを残すために、違う品種を掛け合わせて、人間の都合の良い出来栄えにしたものです。優性形質だけを残すために、雄花やおしべや雄株を人為的に取りのぞいたり、ミトコンドリア異常の雄性不稔の形質を利用したり…。もはや自然な営みではありません。F1種のお野菜は、確かに見た目も収量も良いため、一般的な流通には便利です。でもこのお野菜は1代しか続かない、種採りできない、種を採って植えても次は実らないのです。だから毎年種を買わなければならない。風土や季節に適していない作物を育てようとするので、農薬も肥料も大量必要になるのです。環境にも負荷を与えてしまいます。

 
 

農家さんでのお手伝い


 私は、うつ状態になったころから、地元の農家のSさんたちのお手伝いに週に一度通っています。Sさんたちは、在来種や固定種のお野菜を、完全に無農薬無肥料で栽培し、種採りもしています。自閉症スペクトラムで、体も小さくて、体力もない私を、何の偏見を持たず受け入れてくれたSさんたち。私にできる仕事を毎回用意していてくれて、いつも「ありがとう」と言ってくれる。
 毎日毎日、雨でも雪でも暑くても寒くても、畑に向かい、お野菜たちと対話し、手間暇をかけて育てていらっしゃいます。その苦労と努力を想像すれば、私のお手伝いは、たった週に1回だし、種や苗を植えたり、お野菜をきれいにしたり、量って梱包したり、彼らの1万分の1にも満たないわずかなことかもしれません。それでも、毎回、素敵で可憐なお野菜さんたちに触れる度、元気をもらえるのです。

 そして、Sさんたちは、私の働き分以上のお野菜をたくさんくれるのです。お客さんに出せない規格外のお野菜ですが、味や品質は変わりません。ここのお野菜は本当に味が濃く、生命力に満ち溢れ、蒸すだけでも十分においしいので余計な調理もいらないほどです。それは、在来種・固定種の力に加え、Sさんたちのお人柄も、お野菜たちにいい影響を与えているからだと思います。

 

私にそっと寄り添ってくれるお野菜さん


 大きすぎたり小さすぎたり、割れていたり二股になっていたり虫食いだったり…。在来種や固定種のお野菜は、すべてが均一になることは難しいけれど、いつも私の心にそっと寄り添い言葉をかけてくれるような気がしています。

 「みんなと一緒じゃなくていいんだよ」
 「あなたのままでいいんだよ」
 「素朴なのがいいんだよ」

得意なこともないし、みんなと同じようにはできないし、欠点しかないような私ですが、お野菜さんに見つめられるとなんとなくほっとするのです。その「ぶれ」が、私のことを受け入れ認めてくれているような気がするのです。

 思えば、私の大好きな「発酵」も、「ぶれ」だらけです。毎回同じようには発酵しないし、気温や環境によって発酵するまでの時間も違うし、日々微生物と対話し、じっくり待って、やっと発酵してくる。できたと思っても、いつも同じ味ではない。

 発酵食品も、在来種や固定種のお野菜も、ぶれの中にある美しさこそが、いつも私に寄り添い、元気をくれ、生命力を分けてくれているのだと、そう感じているのです。

 皆さんも、機会があればぜひ、在来種や固定種のお野菜を食べてみてくださいね!


 最後まで読んでいただきありがとうございました。
 


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