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#045 硬水vs鈍感肌

前回アマゾンの奥地(インターネット通販)へ飛んだ私だが、とりあえずクチコミに流されるまま、海外赴任勢御用達の軟水化シャワーヘッドに狙いを定めた。ゆくゆくはポチッとする予定である。

さて、そういうわけで、今回は実際硬水で生活してみてどうだったかを記録しようと思う。渡航前に、やはり「硬水で肌が荒れた」「髪がゴワゴワになった」「石鹸もシャンプーも泡立たなくて死」といった声を散々目にしていた私は、とりあえず先人たちの知恵を拝借し、「顔面は拭き取りで乗り切る」「シャンプー類は現地調達」の方法を採用することにした。

渡航前、地味に毛穴の黒ずみが気になっていた私は「拭き取り化粧水だけで化粧を落として終了なんて…絶対毛穴詰まるじゃん」と全く信用していなかった。毛穴の黒ずみもさぞかしパワーアップするであろうと半ば諦めたような気持ちで渡航した。現地で使ったのは、日本でも評判が良い「ビオデルマ サンビシオエイチツーオー」という拭き取り化粧水だ。日本で買うとそこそこするが、現地のドラッグストアだといつも40%くらい割り引かれていたり、「一つ買うともう一つついてくる」みたいなやつがあったので、大体日本の半額くらいで買えた。いつもお手頃に買える=現地の人たちの鉄板コスメのようだった。

とりあえず朝の洗顔はシャワーを浴びる際にお湯(硬水)で洗い、シャワー後にコットンに拭き取り化粧水をたっぷり染み込ませて拭き取った。とりあえず肌に硬水を残さないようにするためだ。その後は普段通りのスキンケアを行っていた。メイクも同様に拭き取り→お風呂に入って顔をお湯で洗う→再度拭き取り→スキンケアというルーティンだった。最初こそ抵抗はあったが、先人と現地人たちを信じてやり通した。するとどうしたことか、渡航中のおよそ3ヶ月間、毛穴が詰まらないどころか生理前には必ず一つ二つできていた白ニキビも全く出来なかった。毛穴の黒ずみもむしろ薄くなった気がする。思いがけずめちゃくちゃ肌に合ってたらしい。人の言うことは聞いてみるものだ。

一方、ボディの方はというと、最初の1ヶ月くらいは何も変化がなく「硬水、恐るるに足らず」とドヤ顔で過ごしていたのだが、ある日突然、本当に突然、足の脛から足首、そして背中がめちゃくちゃに痒くなった。“昨日までが嘘のように“とはこの事だと思うレベルで突然だったので本当に驚いたが、おそらく「乾燥性湿疹」なるものができてしまった。我が鈍感肌、警告を出さずして突然心が折れたようだ。なんでもっと早く言わなかったのと叱りたくなったが、気づかなかったのは私本人である。とりあえずこれも現地ドラッグストアで死ぬほど置いてあるラロッシュポゼのボディクリームでお茶を濁したら、まぁ渋々ではあるが、落ち着いてくれたので助かった。硬水、油断すべからず、だ。

最後に、髪の毛はどうだったかというと、渡航した当日こそ日本から持っていった小分けのシャンプーを使ったが、翌日には現地のシャンプーを買いに行ったので、特別「泡立ちが悪いなぁ」と思う間も無く普通に洗髪をしていた。私の髪質は元々「多い、硬い、ゴワゴワ、パサパサ、広がる」と恵まれていない髪質だったので、「髪もそんな言うほど変わらないな〜」と特に気にすることなく、呑気に3ヶ月生活し、帰国した。

が、帰国して3日ほど経った頃だろうか、ふと触れた自分の髪に、「私の髪ってこんな柔らかかったの!?」と衝撃を受けた。そう、気付かなかっただけで、めちゃくちゃごわついていたらしい。しかも2週間の自主隔離期間を終えて美容院に行ったところ「なんか毛先傷んでますね…?コテとかよく使ってます?」と斬り込まれた。確かによくみると、毛先が茶色くなっていて、傷んで見える。3ヶ月、コテは使わなかった。髪も長らく染めていない。「なんか傷むようなこと思い当たります?」…強いて言えば欧州に居たことだが、このご時世、いくら隔離期間を守ったとはいえなかなか海外にいたとは言い出しにくく「いや〜なんでしょうね〜わからないですね〜」とはぐらかし続けるしかなかった。しかし相手もプロ。「コテもしてなくて…」「はい〜」「染めてもないですもんね〜…」「はい〜」「…水〜?」「……」「水〜…変わったりとか…しないですよねぇ〜…」ごめんなさい変わりました。なんでも「鉄とか銅で傷んだ感じだったんで…」とのこと。職人ってすごいなぁと思うと同時に、軟水化シャワーヘッドを絶対手に入れようと誓った瞬間であった。

総括すると、結局私が単に鈍感なだけで、実際は硬水にめちゃくちゃに痛めつけられていたという事実だけが残った。そういえば、向こうで使っていた歯ブラシも気がつくと根本が石灰化していた。硬水、なんて恐ろしい水。もうナメプなんてしない。次回の渡航までには必ずや軟水化シャワーヘッドと替えのフィルターを手に入れることをここに誓おう。

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