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詩/風景について3

風景について3

公園のベンチで一服
昨夜の夢が思い出される
その細部まで自分が描いたと捉えるか
アボリジニのように僕は
夢も体験として重用する
その夢の中で
意識こそが世界の素材そのものだった

クオリアの外に出たいと
ずっと思っていた
意識の内にある世界に
客観的な外があることなど
どうしたって証明できないのだと
ずっと思っていた
でも、そもそも外などなかったのだ

蝉時雨に汗ばむ
鼻先が視界に入らぬよう
少し上目づかいで
揺れる木漏れ日に目を細める
空っぽに見える空間にさえ
無境界の意識が肉づいている

これが一如、

2022年8月

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