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ライオンキング 感想 彼らの生き方について

ライオンキングを見てきました。

実写になる前のストーリーを知らなかったので、

一度見ておこうと思って。

ぶっちゃけめちゃくちゃ面白かったです。

稚拙ながら感想を。(以下ちょっとネタバレします)



僕が心に残ったのは、

色んな”生き方”が示されていて、

その中で、結局残った道はひとつだったけど、

どの道にも、

明確な正しさがある訳ではないってことでした。

(何いってんだっつって)


1. ハクナマタタについて

例えばハクナマタタ。

過去にくよくよせず、忘れ、連続的な”今”を楽しく過ごそうという道。

シンバは、父親を殺してしまった苦悩を抱き、

生きる気力を失っていた時、

ティモンとプンパァからこの生き方を示され、生きる気力を取り戻しました。

シンバは結果的にこの生き方に救われましたが、

一方で大人になるまで、

祖国はスカーの悪政に苦しめられました。

途中、ティモンも語っていた通り、

この生き方は、独善的で、独りよがりな生き方です。

誰もが利己的に生き、「命は円ではなく、一直線に繋がっている」。

この考えは、物語冒頭から語られている、"Circle of Life"に反しており、

作中で暗喩的に否定されています。


2. スカーの生き方について

では、ここで敵役のスカーの生き方を見てみます。

スカーは、恋い焦がれていたサラビをムファサに奪われ、

王にもなれず、次期王位もシンバに譲られる予定でした。

武力ではムファサには敵わずとも、

知力では己の方が上だという自尊心を持っている彼にとって、

然るべき地位につけなかったこと、好きな相手を奪われたこと、

己の欲していたもの全てを手に入れられなかったことは、

激しい悔しさ、絶望、憤慨を抱かせるに十分だったのでしょう。

「なんとしてでも、奪われたすべてのものを自分のものにしたい」という思いは、彼の強い野心となり、優れた知力を武器に、計画は遂行されます。

彼の計画は成功し、奪われたものを手に入れ、自らの思いのままにできるハイエナたちを使役し、エサには困らず、メスライオンも管理している…。

ですが、彼はきっと幸せにはなっていなかった。

彼の周りには、真に信頼できる仲間はおらず、利害関係と脅迫で結びつけた関係のみ。

理解者が欲しかったのでしょう。

自分はここにいて良いのだという、彼を認めてくれる存在が。

だからこそ、スカーはサラビに執着した。

彼がサラビにあそこまで執着する理由は、単なる恋慕の気持ちでは無いように思います。

彼の進んだ生き方に、未来はなかったことが、

荒れはてた国とハイエナの裏切りから示されています。


3. シンバの生き方について

最後にムファサの意志を継いだシンバの生き方を見てみます。

彼ははじめ、自分が王であり、王は自由なのだ、という生き方を選ぼうとしていました。

しかし、そのせいで、彼は父を失った。

ティモンとプンパァと過ごした後、

ナラの登場と、ヒヒのおじいさんとの出会いによって、

父 ムファサの言葉を思い出します。

彼は、自分がこの社会に対して、

どういった役割を果たすべきなのか理解し、

自分が国の王たるべきだと確信します。

彼は、王の生き方を選択したのです。


ここで面白いのは、

その後スカーによって「お前は何者だ」と問いついめられた時、

「自分は何者でも無い・・・」と、シンバ自身が答える場面です。

彼の確信した選択は、一方で、なんの根拠もない推論です。

彼自身が正しいと思っていなければ、そこに正しさが存在し得ない、

1度疑ってしまえば全て崩れ去ってしまう、そんな決断なのです。

彼の王たる決断の先に、国が豊かになったという事実があって初めて、この選択は正しかったのかもしれないと思えてくる。


その後、スカーは倒され、国は豊かさを取り戻しましたが、

その国がその後どうなっていくかは分かりません。

シンバは、自身の決断を正解にし続けなければならないのです。


4. まとめ

この物語では、多くの生き方が語られる中で、

やはり、いずれも完全否定されたものはひとつも無いように思います。

「自分の生き方で生きろ」というメッセージが込められていると共に、

シンバのように、途中で生き方を変えてもいいんだという考えも、

同時に教えてくれる教訓的なストーリーです。

子供向けの話だと思ってあまり触れてきませんでしたが、学ぶべきところが多かった内容でした。

実際には、子供に影響を与えたいからこそ、子供向けの話とは強いメッセージングが込められている気がします。

とても面白かったです。


〜追記〜

ここで触れておきたいのが、ティモンとプンパァと、ナラの考えです。

ティモンとプンパァは、自身のハクナマタタという生き方よりも、

シンバについていくという選択をしています。

また、ナラは始めから、シンバが王たるべきと確信しています。


シンバの決断には、彼を”王”と信じるものたちの心が、支えとなっています。

一方で、スカーの”王”となる決断には、正しかったと確信できる支えがありません。

その意味で、スカーは、「この決断は正しかったのか」というモヤモヤとした不安に常に襲われていた。

彼には救われて欲しかったと思うのは、私だけでしょうか。

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